「尾身茂亡国論」科学性ゼロの専門家集団|小川榮太郎

「尾身茂亡国論」科学性ゼロの専門家集団|小川榮太郎

緊急事態宣言は一体いつまで続くのか。その根拠はどこにあるのか。1月から続く極端な社会制限、私権制限は、戦時中でもなければあり得ない最大級の人権侵害であり、生存権の侵害である――。「感染者数」で社会を脅迫する分科会とマスコミ、情緒的で科学性ゼロの発言を繰り返す尾身茂会長がいる限り、日本のコロナ禍は終わらない!


「感染者数」で社会を脅迫する分科会

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そもそも、新型コロナウイルス感染症対策分科会とは何か。
 
昨年2月に発足した専門家会議が、科学的根拠もなく誇大な危機を煽って社会制限を提言するのに業を煮やした安倍政権が、これを1度解散し、よりまともな専門家らに組織替えするのが秘かな意図だったことを、私は当時の政権関係者複数から確認している。
 
ところが、それが丁度、安倍首相が持病の潰瘍性大腸炎を再発した時期と重なってしまう。新しい分科会を安倍氏が充分掌握し、コントロールできる状況でなかったのは容易に想像がつく。メンバーも事実上の横滑りが多く、主要な顔ぶれは変わっていない。
 
事実、再スタートに際しての8月7日付の提言を見れば、専門家会議の非科学性をそのまま引き継ぎ、根拠もなく数々の行動制限の強行を主張している。
 
分科会は、感染状況についてステージ1から4を設け、ステージ3を感染急増期、ステージ4を感染爆発期と定めている。このうち感染爆発に当たるステージ4は、新規感染者数が1週間につき人口10万人あたり25人以上となっており、新規感染者数がその前の週を上回ることも条件とされている。
 
その場合には「緊急事態宣言など、強制性のある対応を検討せざるを得ない」とされ、我々にすっかりなじみとなったイベント中止、休業要請、移動制限、テレワーク、酒類提供禁止などは、本を糺せばこの提言に由来する。
 
言うまでもなく、こんな戦時中並みの「強制性のある対応」には、それに見合った根拠が必要であろう。ところが、分科会の提言には見事なまでにそれが欠落しているのである。
 
ステージ4の感染者数は日本の人口に置き換えれば、1週間当たり約3万人の感染者数となる。1日にすれば約4000人だ。だが、この数値自体は全く意味をなさない。
 
感染カーブは感染爆発時には累乗的に拡大するから、先週に比べて数が増加しているなどという一般論で判断しようがない。ごく微小の段階でも、数理計算に基づき感染波は予測できる。本当に危険な感染症の爆発であるなら、実は10万人あたり25人という数値は甘すぎる。
 
ところが、逆に疾病としてのリスクがそれほど高くないのならば、この数値は、政府が「強制性のある対応」をするにはあまりにも厳しすぎるのである。
 
疾病としてのリスクがどの程度かという評価抜きに、感染者数だけで社会制限の可否の判断などできないのは、言うまでもない話ではなかろうか。

分科会が研究すべき最大のテーマ

ところが驚くべきことに、この分科会提言には、死亡人数の基準、重症化の判別基準、平均年齢や基礎疾患の有無によるリスク判断が一切記されていない。
 
感染爆発とされるステージ4は、「爆発的な感染拡大により、高齢者や高リスク者が大量に感染し、多くの重症者及び死亡者が発生し始め」るとされている。
 
ふざけているのか。
 
どんな年の風邪、インフルエンザも「感染拡大により、高齢者や高リスク者が大量に感染」する。高齢者や高リスク者をどう守るかは医療政策の重大なテーマでもあり、各個人の行動によっても注意してきた。それは新型コロナに始まることではない。
 
論点は、新型コロナウイルス感染で、例年を遥かに超えて特段に「多くの重症者および死亡者が発生」するかどうかである。また通常と異なり、60代以下、平均年齢を下回る層で特段に「多くの重症者および死亡者が発生」するかどうかである。
 
もし、それらが例年を大きく超える被害を生じているならば、社会政策が必要になる。

だが、感染が出ても、例年を遥かに超えて特段に「多くの重症者および死亡者が発生」したり、若年層に多くのリスクがないならば、社会制限などしてはならない。である以上、感染症として、従来とは異なる劇症化リスク、若年リスク、高死亡率などが認められるかどうかこそは、分科会が研究すべき最大の主題だったはずだろう。
 
ところが、それが一切ない。
 
昨年8月の提言にないだけでなく、今日に至るも一度も医学的、統計学的な根拠が示されたことはない。無茶な話である。エボラ熱やコレラ菌などで1週間当たり約3万人の感染者が出たら大変な話だが、インフルエンザでこの数値ならば学級閉鎖も起きない。
 
ところが、インフルエンザに較べても、コロナ型ウイルスはさらにありふれた風邪ウイルスのひとつであり、従来20~30%の風邪の原因とされてきたものなのである。

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