「トランプは悪者ではない」
2025年6月24日、トランプ大統領がイランとイスラエルの停戦合意を発表した。停戦初日には、イスラエルは攻撃停止を順守した。もっとも、イスラエルが停戦合意に違反したとしてイランを攻撃する意向を示しているという情報もあり、今後の展開はなお流動的である。
とはいえ、イランとイスラエルの戦争が激化し、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」をいったん回避できた意味は大きい。この劇的な展開の背景について、筆者は元衆議院議員の長尾たかし氏に話を聞いた。
6月25日に正式に解散した旧安倍派(清和会)は、安倍晋三元総理を支えつつ、広範な外交ネットワークを築き上げてきた。長尾氏によれば、そのときに構築した情報網や外交ルートは、今も水面下で生きているという。
「トランプは悪者ではない」
長尾たかし元議員は、語気を強めてそう断言した。
日本の報道は一貫してトランプ大統領を“異端”として扱い、米国の国際秩序に逆らう存在として描き続けてきたが、実際には、民主党政権が拡大させた国際的混乱と戦争の火種を収束させようと、水面下で奔走していた──これが長尾氏の見立てだ。
2023年10月7日、イスラエル国内で開催されていた音楽フェスティバルが、突如ハマスの戦闘員によって襲撃され、260人以上が犠牲となり、多数が人質に取られた。10月9日、ハマスは作戦開始からわずか2分で5000発のミサイルを撃ち込んだと主張し、イスラエル側は2000発以上と発表。テルアビブでは多数の市民が犠牲となった。
背後にはイラン革命防衛隊の影があり、使われた兵器の一部は中国や北朝鮮の兵器が含まれていたという見方もある。しかし日本では、この事実関係を曖昧にしたまま、イスラエルの反撃ばかりを“過剰攻撃”として報じていた。これは「報道の記憶喪失」であり、イスラエルもまたテロ組織ハマスやヒズボラの被害者であるという事実は忘れてはならない。
トランプ大統領による今回の電撃的なイラン核施設への攻撃と、その後の停戦。その背景には何があったのだろうか。