「尾身茂亡国論」科学性ゼロの専門家集団|小川榮太郎

「尾身茂亡国論」科学性ゼロの専門家集団|小川榮太郎

緊急事態宣言は一体いつまで続くのか。その根拠はどこにあるのか。1月から続く極端な社会制限、私権制限は、戦時中でもなければあり得ない最大級の人権侵害であり、生存権の侵害である――。「感染者数」で社会を脅迫する分科会とマスコミ、情緒的で科学性ゼロの発言を繰り返す尾身茂会長がいる限り、日本のコロナ禍は終わらない!


リスクを取れない政治家は政権に就くな!

Getty logo

今回の危機が、スペイン風邪でも中国人民解放軍でもなく、弱毒の風邪ウイルスによるものだったのは不幸中の幸いであった。
 
この程度の事案にさえ全く対処できないほど、日本の政権の危機管理能力が極端に低いことが、国家崩壊レベルの危機に見舞われる前に露呈したことになるからである。
 
その根本的な原因は、判断リスクが高い事案に対してほど政治決断ができないという、政治指導力の不足にある。
 
リスク回避ばかりを狙う行き方は、官僚の方法論であっても政治指導者のそれではない。しかも、新型コロナ事案は判断リスクが高いといっても、昨年の秋にはすでに充分な判断材料が揃っていたのである。
 
尖閣・台湾危機、人口激減、皇室危機など、今後わが国は政府による判断リスクの極めて高い事案を矢継ぎ早に迎え撃たねばならない。
 
リスクを取れない政治家は政権に就くな。
 
いまは平時ではない、事実上すべての要素が戦時と化している。不決断、判断先送りは、明確な根拠と理性に基づく判断ミスを遥かに超えて、国家の大敗を招く。
 
政権要路の政治家は、部下や専門家に幅広く、判断材料を提示することを貪欲に要求し、根拠に基づく速やかな判断を下す訓練を自らに意識して課すこと――菅政権幹部、自民党で次期総理を狙う全ての政治家は、その点を肝に銘じていただきたい。
 
日本の歴史的大敗は迫っている。

(初出:月刊『Hanada』2021年7月号)

著者略歴

小川榮太郎

https://hanada-plus.jp/articles/208

文藝評論家、社団法人日本平和学研究所理事長。昭和42(1967)年生まれ。大阪大学文学部卒業、埼玉大学大学院修了。第18回正論新風賞を受賞。主な著書に『約束の日―安倍晋三試論』(幻冬舎)、『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)など。最新刊は『「保守主義者」宣言 』(扶桑社 )。

関連する投稿


たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

たちまち5刷!『マンガ安倍晋三物語』制作秘話|TEAM ABE(チーム安倍)

昭恵夫人が「号泣しました。生涯最高の一冊です」と大絶賛。全国から感動、感涙の声が続々。安倍晋三総理の67年の生涯を描いた『マンガ安倍晋三物語』の制作秘話を未公開イラストと共に初公開!


望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

ジャニーズ事務所会見での「指名NGリスト」が騒ぎになっているが、そもそも記者会見とは何か、ジャーナリズムとは何か、それらをはき違えた人物たちにより我が国のジャーナリズムが破壊されることは、ジャーナリズム出身者としても許せない。(サムネイルはYouTubeより)


仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

今回の仙台市議選において自民党は5つの選挙区で、現職の公認候補3人が落選した。私が選挙戦を通して感じたのは、岸田内閣の政策への厳しい評価である。“サラリーマン増税”について岸田総理は否定したものの、「岸田政権では増税が続く」と考えている方がとても多かった。


安倍晋三元総理がご存命であったら……|和田政宗

安倍晋三元総理がご存命であったら……|和田政宗

防衛費増額での増税議論、LGBT法案での議論――安倍元総理の取り組みや考えからは真逆の政策が推し進められようとしている。安倍元総理がいらっしゃったら果たしてこうなっていただろうか。


衆参補選2勝3敗の可能性もあった! 「岩盤支持層」はどこへ向かうのか?|和田政宗

衆参補選2勝3敗の可能性もあった! 「岩盤支持層」はどこへ向かうのか?|和田政宗

今回の衆参補選の結果を経て、解散総選挙は早いのではないかとの観測も流れているが、もし次の衆院選において、維新と立憲で候補者調整などが行われれば、自民党はかなりの厳しい結果を覚悟しなければならない――。(サムネイルは茂木敏充氏Twitterより)


最新の投稿


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!