仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

今回の仙台市議選において自民党は5つの選挙区で、現職の公認候補3人が落選した。私が選挙戦を通して感じたのは、岸田内閣の政策への厳しい評価である。“サラリーマン増税”について岸田総理は否定したものの、「岸田政権では増税が続く」と考えている方がとても多かった。


自民党から離れた心は簡単には戻らない

昨日30日、政令指定都市である仙台市において市議会議員選挙が行われた。岸田内閣の支持率が大きく低下する中での選挙戦であるとともに、日本維新の会や参政党、れいわ新選組も候補を擁立し、各党の獲得議席がどうなるのかが注目された。

結果は、自民党にとって現職3人が落選するという大変厳しいものであり、党として現状からの根本的な立て直しを図らなければ、さらに厳しい結果が続くことは明らかだ。

仙台市議選は私の地元の選挙であり、選挙戦を通して各候補の応援に入り、自民党に対する意見をつぶさに聞いた。何とか理解を求めたが、自民党から離れた心は簡単には戻らない。私の力不足をはじめ、今回の結果には忸怩たる思いが極めて強い。落選させてしまった方々に本当に申し訳なく思う。

今回の仙台市議選において自民党は、5つの選挙区(青葉区、太白区、宮城野区、若林区、泉区)で、現職の公認候補3人が落選した。これにより自民党の議席数は21から18へと減った。また、新人の公認推薦候補3人を擁立したが、いずれも当選することはできなかった。

私が選挙戦を通して感じたのは、岸田内閣の政策への厳しい評価である。その声は、岸田政権における国民の負担増を懸念するもので、“サラリーマン増税”について岸田総理は否定したものの、「岸田政権では増税が続く」と考えている方がとても多かった。

今回の仙台市議選の結果は、マイナンバー問題が影響したなどと述べる人がいるかもしれないが、実際に大きく影響したのは国民の負担増に対する拒否反応である。

自民党仙台市議団は、仙台市のみならず全国の公立小中学校の教室へのクーラー設置を過去に安倍晋三総理(当時)に直談判して実現した実績もあり、応援演説の際には、政府与党として実現への道筋を示した給食費無償化など子供子育て政策を中心に述べた。

こうした政策に対する反応は良かったが、「でも結局、国民負担は増えるんでしょう?」という声に最後は戻ってしまっていた。根強い不信感となっており、簡単には払拭できないと感じた。

都市部における維新への期待と追い風

「岸田政権は増税路線」という国民に広がる感覚を根本的に変化させる政策を打たなければ、仙台市議選のような状況が続くばかりか、さらに悪化しかねない。防衛増税は本当にやる気なのか。国民は「増税にNO」を明確に意思として示している。

さらに自民党にとって深刻なのは、今回の投票率は前回を1.53%下回る過去最低の34.30%であるのに、第3極や新興勢力が躍進したことである。日本維新の会は、5つの各選挙区に1人ずつ新人候補を擁立し、全員が当選。議席を0から一気に5とした。

日本維新の会への期待は猛烈な追い風で、維新公認であれば当選するような状況となった。当選した方の中には、地域活動を重点的に行ったり、政策を日常的に街頭等で訴えてこなかった人もおり、「日本維新の会」の看板を前面に掲げて戦ったことが当選につながったと言える。

岸田政権に対して国民負担増への懸念を持った方々は、維新が訴える「改革」へ期待し投票行動を取った。この選挙戦において維新は、選挙直前から吉村洋文共同代表の声を入れた政党広報カーを仙台市内各地で運行し、「大阪の改革を仙台でも」との訴えが各地で流れた。また選挙戦においても仙台市中心街に馬場伸幸代表が来訪して維新の政策を訴え、各候補者が一堂に会した。

各候補の特色よりも「維新」全体の看板を前面に出してその効果を狙うものであったが、今回の結果を見れば、都市部における維新への期待と追い風は強く続いていると言える。

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