慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃(東京開催)|松木國俊

慰安婦問題を糾弾する「日韓共同シンポジウム」の衝撃(東京開催)|松木國俊

日米韓の慰安婦問題研究者が東京に大集合。日本国の名誉と共に東アジアの安全保障にかかわる極めて重大なテーマ、慰安婦問題の完全解決に至る道筋を多角的に明らかにする!シンポジウムの模様を登壇者の一人である松木國俊氏が完全レポート、一挙大公開。これを読めば慰安婦の真実が全て分かる!


ではここで逆に考えてみよう。民間人の請求権が消滅していないという韓国側の主張が通るならば、日本人民間資産に対する日本人の請求権も当然消滅していないことになる。

実は「日韓請求権・経済協定」における最も重要なポイントの一つは、日本が韓国に対して保持していた資産に対する「請求権」を放棄したことにあった。

戦後日本を支配していた GHQ(連合軍最高司令官総司令部)と日本政府が共同で調査した結果、朝鮮半島の韓国側に残された「日本人民間資産」は少なくとも 343 億円あった。これを総合卸売物価指数を当てはめて現在の価値に直せば、6 兆 5170 億円に達する。

終戦後朝鮮半島南部で軍政を樹立した米軍は、1945 年 12 月に軍政法令第三十三号を公布して、日本の国公有財産はおろか日本人の私有財産まですべてを接収した。

その後米軍はこれらの日本の資産を 1948 年 9 月に韓国政府に移管している。しかしながら、これら日本の残置民間資産に対する日本側の請求権は、米軍接収後も依然として日本側が保持していた。

なぜなら 1907 年の「ハーグ陸戦協定」に「戦勝国は敗戦国民の私有財産を没収することを得ず」と明確に規定されている。もし米軍が日本の民間資産を没収したのであれば、それは「戦争犯罪行為」となる。実際には戦後の混乱の中で米軍が日本の民間資産を管理し、韓国政府に預けた状態であり、それらの民間資産の所有権は日本側に残っていた。

1952 年から 1965 年まで七次に亘った日韓交渉において、当初日本側は朝鮮に残した日本資産は日本側に所有権があるとの立場を明確にし、請求権を主張していた。

しかしながら、これをどこまでも請求すれば、韓国経済が立ち行かなることも事実である。結局日本側が大幅に譲歩し、本来であれば日本人のものである韓国に残した民間資産への請求権を「日韓請求権・経済協力協定」で全て放棄したのだ。

さらに、この「日韓請求権・経済協力協定」によって日本側は韓国に無償3億ドル、有償2億ドル、商業借款3億ドル、合計 8 億ドルの経済援助を行うことを取り決め、実行した。その額は当時の日本の外貨保有額 18 億ドルの 40%であり、韓国の政府予算の 2 年半分に相当した。これによって日韓請求権問題は完全かつ最終的に解決したのだ。

しかし、民間人の請求権が消滅していないのであれば、韓国に残した日本人の民間資産への請求権が復活する。現在の価値で 6 兆 5170 億円だ。

さらに請求権問題を完全かつ最終的に解決するために供与した無償 3 億ドルの経済援助も意味がなくなる。現在の価値に直し、金利をつけて返してもらわねばならなくなるのだ。  

そうなれば、日韓の間で過去にさかのぼった無益で泥沼の訴訟合戦が果てしなく続き、日韓関係は破綻するだろう。

日韓が協力して世界をリードしよう

しかし、中国、ロシア、北朝鮮という周辺の覇権主義国家や無法国家の軍事的脅威が増大する中で、日韓が対立している場合ではない。ではどうすればよいだろうか。

かつて朴槿恵大統領は「加害者と被害者の関係は千年経っても変わらない」と言った。

しかし過去千年を振り返れば、アメリカはインデアンを虐殺し、ヨーロッパ諸国は有人種の国を植民地にして収奪の限りを尽くした。共産主義の暴力革命や圧政で一億人が虐殺された。第一次大戦、第二次大戦でも膨大な人々が恨みを飲んで死んでいる。恨みが本当に千年も続くのなら、地球上には怨念ばかりが渦巻き、人類は過去に捕らわれて一歩も前に進めなくなる。地上に和解の日は永遠に訪れないだろう。

だが人類はそれほど愚かではなかった。人類の英知は、国際法を作り、条約によって過去を全て清算し、過去の恨みを克服して 新しい歴史を切り開いて来た。

日本と韓国も「日韓基本条約」そして「日韓請求権・経済協力協定」という二つの条約によって日本統治時代の過去を全て清算し、共に協力して今日の繁栄する両国を築いて来 た。韓国の人たちに是非そのことを思い起こして欲しい。そして最後に韓国の皆さんに次のように訴えたい。

慰安婦問題はもともと日韓を離反させ、互いに反目させようとする、親北朝鮮や親中国の左翼勢力がでっち上げた「嘘」なのだ。左翼勢力の扇動に乗って日韓が反目すれば、中国や北朝鮮の軍事力に対抗できない。両国の自由民主主義体制が共倒れとなってしまう。

このシンポジウムでも明らかなように、慰安婦強制連行などなかったのだ。日韓両国にとって無益どころか自滅に繋がる争いはもうやめようではないか。そして未来に向かって、極東の経済大国である日本と韓国が力を合わせ、東アジアの自由民主主義体制を守り抜き、そして世界をリードして行けるよう最善を尽くそうではないか。

⑥ ジェーソン・Ⅿ・モーガン氏「The Comfort Women Hoax~慰安婦問題という詐欺の終焉とこれからの課題」

ジェーソン・Ⅿ・モーガン氏

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