ある特定の弱小宗教団体を、国家社会を挙げて異様なほどバッシングするのはいったいなぜなのか?
私は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をテーマに『月刊Hanada』に3年ほど不定期連載を行い、これをまとめて昨年11月、『国家の生贄』として単行本を上梓した。この間、一貫して私が強くこだわったのは、冒頭の素朴な疑問である。
見て見ぬふりはどうしてもできなかった
根拠のないナラティブ(物語)を一切の検証なく垂れ流し続ける
まず、メディアの家庭連合をめぐる報道がきわめて異常だ。この教団を少しでも利する報道、いや中立的な報道さえ一切行われない。方や、教団と敵対する全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の記者会見での主張や、鈴木エイト氏の根拠のないナラティブ(物語)を、一切の検証なく垂れ流し続けている。もはやメディアが守るべき公平性、中立性を自ら放棄したに等しいが、どうやら家庭連合に対しては何を言ってもいい、何をやってもいいという治外法権が存在しているようだ。
私はこの著しい偏向報道について、メディアに真正面から取材をしたことがない。拒否されるだろうことは目に見えているからだ。しかし、教団をめぐる取材で知り合った大手紙の記者たちにちらちら聞いたことはある。すると、
「霊感商法という悪徳商法を行っていたから」と言う。
なるほど、霊感商法の被害者救済を行っている全国弁連の弁護士らは、霊感商法を「巨悪」と表現し、詐欺的商法と糾弾する。しかし待ってほしい。意外なことにこの「悪徳商法」が詐欺罪で立件されたことは一件もなく、民法上の詐欺・脅迫(民法九十六条)が認定された事例も全くないのだ。それで巨悪と言えるだろうか?
全国弁連がメディアを巻き込んで霊感商法の追及を始めたのは1987年前後からである。正確に言えば、旧統一教会は霊感商法を行っておらず、大理石壺や多宝塔を韓国から輸入販売していたのは、信徒の経営する会社である。しかしこの会社は、「世間から誤解を生じないために」87年3月にはこれらの商品の輸入販売をやめている。実に39年も前のことである。現在ではこの被害なるものはほぼなくなっている。それなのに、いまだに家庭連合の信者や家庭連合に少しでも親和的な人々に対し、「壺」という侮蔑的な言葉を投げつけるのはどうしたことか。
この霊感商法をめぐる騒動は、実は単純な消費者問題ではなく、背景に、スパイ防止法制定を潰そうとする左派の謀略、共産党の暗躍、有神論と無神論の戦いなど、複雑な政治的思想的な対立があるのである。興味を持った方はぜひ本書をお読みいただきたい。

