2012年秋、習近平政権が誕生して以来、中国経済はほぼ右肩下がりである(図表参照)。
(作成:筆者)
なぜ、中国は経済が停滞しているか。その主な原因は3つある。
第1に、「混合所有制改革」が導入されたからである。ゾンビ、またはゾンビまがいの国有企業を生き延びさせるため、活きの良い民間企業とそれらの国有企業を合併している。これでは、大部分の民間企業が“ゾンビ化”して行くに違いない。
また、これでは「国退民進」(国有経済の縮小と民有経済の増強)ではなく、真逆の「国進民退」(国有経済の増強と民有経済の縮小)という現象が起きる。習近平政権は、中国経済を発展させた鄧小平路線の「改革・開放」を完全否定したのである。
第2に、「第2の文化大革命」が発動されたからである。政治思想(「習近平思想」)が優先され、自由な経済活動が阻害されている。これでは、成長は見込めないだろう。
第3に、「戦狼外交」(対外強硬路線)が展開され、中国は国際社会で多くの敵を作ったからである。そのため、経済的にも八方塞がりの状態となった。
例えば、昨年来、習政権がオーストラリアに対して強硬姿勢を取り、豪州産石炭の禁輸措置を行った。そこで、現在、中国は電力不足に悩まされている。加えて、習近平政権が推し進める「一帯一路」構想は「コロナ禍」で行き詰まった。貸付先の「債務国」の借金が中国へ戻って来ない。中国が借金のカタに相手国の湾岸等を租借しても、すぐに利益は産まない。