徹底検証!習近平の「台湾侵攻」は本当に可能なのか?|澁谷司

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今年(2022年)2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻した。それ以来、盛んに、台湾海峡危機とウクライナ危機が同列に語られている。本当に中国は「台湾侵攻」を決行するのか、徹底検証する。


2012年秋、習近平政権が誕生して以来、中国経済はほぼ右肩下がりである(図表参照)。

(作成:筆者)

なぜ、中国は経済が停滞しているか。その主な原因は3つある。

第1に、「混合所有制改革」が導入されたからである。ゾンビ、またはゾンビまがいの国有企業を生き延びさせるため、活きの良い民間企業とそれらの国有企業を合併している。これでは、大部分の民間企業が“ゾンビ化”して行くに違いない。

また、これでは「国退民進」(国有経済の縮小と民有経済の増強)ではなく、真逆の「国進民退」(国有経済の増強と民有経済の縮小)という現象が起きる。習近平政権は、中国経済を発展させた鄧小平路線の「改革・開放」を完全否定したのである。

第2に、「第2の文化大革命」が発動されたからである。政治思想(「習近平思想」)が優先され、自由な経済活動が阻害されている。これでは、成長は見込めないだろう。

第3に、「戦狼外交」(対外強硬路線)が展開され、中国は国際社会で多くの敵を作ったからである。そのため、経済的にも八方塞がりの状態となった。

例えば、昨年来、習政権がオーストラリアに対して強硬姿勢を取り、豪州産石炭の禁輸措置を行った。そこで、現在、中国は電力不足に悩まされている。加えて、習近平政権が推し進める「一帯一路」構想は「コロナ禍」で行き詰まった。貸付先の「債務国」の借金が中国へ戻って来ない。中国が借金のカタに相手国の湾岸等を租借しても、すぐに利益は産まない。

中国に味方する国は皆無

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