上から目線で相手を見下し、嫌味と皮肉を織り交ぜる
「政党間でお互いを厳しく批判する権利はある。そうした政党間の論争と『日本からなくなったほうがいい』と存在そのものを否定することは本質的に異なる」
日本共産党の小池晃書記局長はこう語気強く語った。 7月26日の記者会見でのことだ。
この日、小池氏は、日本維新の会の馬場伸幸代表が同月23日のネット番組の中で「共産党は日本からなくなったらいい政党」と発言したことに対して、「発言のすみやかな撤回を強く求める」とする抗議文を維新側に手渡していた。
これに対し維新の藤田文武幹事長は同日の記者会見で「撤回する必要は全くない」と共産党からの要求を取り合わないことを明確にしていた。
小池氏は苛立ち、いつものふて腐れた口調で「民主主義を否定する暴論であるという日本共産党の指摘に全く反論できなかった」と述べ、改めて撤回を求める姿勢を示した。だが、維新の会が撤回に応じるはずもなく、完全なパフォーマンスだ。
「全く反論できなかった」とか「答弁不能に陥った」というのは、共産党流の〝論戦〟を締め括るお決まりのフレーズだ。共産党が独り善がりの意味不明の質問をする、あるいは的外れの要求をすれば、答える側は答えようがなくなる。そこで「全く反論できなかった」と議論を打ち切り、共産党があたかも論戦に勝ったかのように支持者にアピールするのだ。
小池氏は共産党内部では〝論客〟の一人と見られているが、実際にはこうした手法を駆使するとともに、上から目線で相手を見下し、嫌味と皮肉を織り交ぜることで、論戦相手を圧倒しているかのように見せかけているだけなのだ。論戦相手となるのは、大臣や官僚だから、小池氏の嫌味にいちいち反論すれば、「いまの発言はなんだ!」と揚げ足を取られることになるだけだ。小池氏の議論は相手の失点を誘う挑発でもあるのだ。
小池舌禍事件
大臣や官僚に対しては強いように見える小池氏だが、世論の批判にはめっぽう弱い。
小池氏の嫌味や皮肉は、支持者からは「ユーモアがある」などと持てはやされているが、一方ではそれが欠点となって、過去にいくつかの舌禍事件を起こしている。
例えば2020年6月26日、小池氏は自身のツイッターに 「オーバーシュートをロックダウンでアウフーベンしましたの。オホホ。東京アラートはレインボーブリッジをレッドにするだけだったから、排除いたします。これからはウィズコロナで自衛お願いね。ゆりこと一緒にベストミックスなワイズ・スペンディングでグレーター東京つくりましょ。てか。」と書き込んだ。これはコロナ対策に取り組んでいた小池百合子東京都知事を揶揄したものだ。馴染みのないカタカナ語を多用する知事の口癖を真似したユーモアのつもりだったかもしれないが、投稿したとたんに小池晃氏への批判が殺到した。いわく「女性言葉を揶揄するのは女性蔑視だ」「相手を馬鹿にした文体だ」「小池都知事とその支持者を愚弄する行為」などなど……。
小池晃氏はこうした批判に何らコメントすることもないままツイート自体を削除してしまった。世論に対しては「全く反論できなかった」のである。
小池晃氏のツイート2020年6月26日(現在は削除されている)