ヨーロッパに君臨した屈指の名門当主が宣言
日本では全く報じられていないが、ヨーロッパで激震を起こしたある出来事を紹介したい。
かつてオーストリア・ハンガリー帝国の支配者だったハプスブルク家の現当主であり、最後の皇帝カール1世の孫にあたる、元欧州議会議員でもあるカール・フォン・ハプスブルクが、ロシア連邦の滅亡を呼びかけたとして大きな話題を呼んでいるのだ。ハプスブルク家は13世紀から第一次世界大戦までの約700年間にわたってヨーロッパに君臨した屈指の名門だ。帝位は失ったとはいえ、その影響力は陰に陽に残っている。その現当主がロシアの滅亡を呼びかけたとあってはニュースにならないはずがない。

カール・フォン・ハプスブルクの演説動画(2025年1月)より
「ロシアを再び小さく」がキャッチフレーズ
カール・フォン・ハプスブルクは今年1月に行なった年次演説で次のように話した。昨年12月にウィーンで小規模な会合が開かれ、あるウクライナ人の参加者が次のように語ったと。
〝大きなロシアは、大きな問題をもたらす。小さなロシアは、小さな問題を起こす。〟
ここで言われている「あるウクライナ人」とは、実は、以前に紹介した「ロシア後の自由な民族フォーラム」の創設者であるオレグ・マガレツキー(「日本は世界で最も重要な国のひとつ|オレグ・マガレツキー×石井英俊」)のことだ。本稿の後半でも彼については現状を報告する。