トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

「交渉のプロ」トランプの政治を“専門家”もメディアも全く理解できていない。トランプの「株価暴落」「カマラ・クラッシュ」予言が的中!狂人を装うトランプの真意とは? そして、カマラ・ハリスの本当の恐ろしさを誰も伝えていない。


トランプに対する「間違い」が多すぎる!

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誰もがトランプについて論じている。トランプが好きな人も、トランプが嫌いな人も、とにかくトランプの一挙手一投足が気になって仕方がないのだ。筆者はトランプの演説や投稿、またはそれに対する批判なども含めて、直接そのものをずっと見続けてきている。その私からすると、日本のメディアや識者の反応に困惑させられることが度々ある。それは違いますよ、トランプが言いたいことはそうではありませんよ、と突っ込まざるを得ない「間違い」があまりにも多いのだ。おそらくその最大の理由は、トランプの発言の言葉尻、発言の強さに目を奪われて、言葉を文字通りに受け取ってしまっているからではないかと思われる。

例えば、8月初頭、筆者はX(旧Twitter)上で、とある日本の安全保障の専門家が「囚人を交換してくれたとプーチンを褒めるトランプのなんとズレた認識か。プーチンは露のスパイや殺人者を助けるために、米国の無実の民間人を囚人として拘束しているのだ」と、トランプ批判を投稿しているのを目にした。それは、8月1日に米露など7カ国が、冷戦後最大規模となる計26人の「囚人交換」を行った件についてだった。

欧米側にとっては、スパイ罪で有罪とされたWSJ紙特派員や元海兵隊員、露の人権団体幹部や野党指導者らが釈放された一方で、露側にとっては、殺人罪で収監の露人工作員らが釈放されたものだ。「歴史的」と称されるものの、「囚人」の罪のレベルがアンバランスだとして批判を受けている。というのも、今後、露が欧米に送り込んだスパイや殺人者が収監されても、欧米のジャーナリストや人権活動家を適当な罪状で捕まえてしまえば、簡単に身柄交換ができるという前例を作ってしまったからだ。

それで、トランプは翌日2日のFoxビジネスの取材に応じた際に、この取引を「プーチンの勝利」だと述べた。バイデン政権が露側に有利な取引をしたという意味合いだ。「お金が絡んでいたのかどうかを調べなければならない。前回のように何十億ドルも支払ったのだろうか?」と疑問を呈しながら、今回の件が非常に「悪い前例」になりかねず、「途方もない数の拉致につながるだろう」と述べた。
トランプは、また、3日に開いた南部ジョージア州アトランタでの集会でも、「プーチン大統領が素晴らしい取引をしたことに祝意を示したい」と発言した。発言の背景は上記の通りであり、バイデン政権への批判であって、これは文字通りに捉えるべきものではなく、米国人ならではの皮肉の発言であると理解しておかねばならない。

しかし日本では、「『プーチン大統領に祝意』 身柄交換でトランプ氏」という共同通信の配信記事が、報道各社で出回った。あたかも、トランプが自国ではなく、露側の味方をしていておかしいというような論調だ。現地米国内でも、トランプを叩きたい反トランプの共和党関係者らや左派がこういった論調を利用している。事実、冒頭に紹介した日本の安全保障専門家は、「トランプに反対する共和党員たち」というアカウントの投稿を引用していた。「トランプがプーチンを褒めるとは何事か」との意味合いで反応していることこそ、何事であろうか。

「習近平とはとても良い友人だった」発言

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