イーロン・マスクが激奨する38歳の米大統領選候補者とは何者か|石井陽子

イーロン・マスクが激奨する38歳の米大統領選候補者とは何者か|石井陽子

米史上最年少の共和党大統領候補者にいま全米の注目が注がれている。ビべック・ラマスワミ氏、38歳。彼はなぜこれほどまでに米国民を惹きつけるのか。政治のアウトサイダーが米大統領に就任するという「トランプの再来」はなるか。


同時に、ラマスワミの思想のベースはトランプ氏の主張や動きと重なる印象を受ける。だが、彼はその点についての言及を忘れない。その演説の中でも、「私の良い友人であるドナルド・トランプ氏からインスピレーションを得た」「2015年から2016年にかけて、トランプ氏がアウトサイダーとして体制を揺るがした動きがなかったならば、今私はこうして大統領選に出馬していなかっただろう。それが事実だ」と述べている。大統領選挙の候補者としてはライバルになるわけだが、ラマスワミはトランプへの攻撃は一切しない。むしろ尊敬や感謝の言葉を述べている。

年齢が若すぎることや政界のアウトサイダーであることを踏まえると、ラマスワミは泡沫候補になるかと思いきや、2016年大統領選時に当初はキワモノ扱いされていたトランプが急浮上したことを彷彿とさせる勢いで伸びてきている。実は、今や共和党内で三番手にまでのし上がっているのだ。全国世論調査では、彼の数字が上昇している一方で、トランプを脅かす存在としてもてはやされているフロリダ州知事のデサンティス氏の数字は下降中だ。FOXニュースの新しい世論調査(8月11日〜14日)では、トランプ53%、デサンティス16%に対し、ラマスワミは前回の2倍以上の11%に上がっている。また、ラマスワミはデサンティスとの差を17ポイントから5ポイントにまで縮めている。デサンティスをすでに脅かし始めているのだ。

ここで、イーロン・マスクがX上で「信念を明確に述べている」として引用リツイートして称賛したラマスワミの主張を紹介したい。ラマスワミ本人が18日に箇条書きで投稿したものだ。

「真実。
1. 神は実在する。
2. 性別は2つある。(※筆者注:過激なLGBTQ運動に対峙)
3. 人間の繁栄には化石燃料が必要である。(※筆者注:再生可能エネルギー偏重ではなく、経済重視)
4. 逆人種差別は人種差別である。
5. 開かれた国境は国境ではない。(※筆者注:厳格な移民対策)
6. 子供の教育は親が決める。(※筆者注:左翼労働組合が牛耳る公教育の改革)
7. 核家族は人類が知る最大の統治形態である。
8. 資本主義は人々を貧困から救う。(※筆者注:高負担高福祉の社会主義は取らない)
9. アメリカ政府には4つの部門ではなく、3つの部門がある。
10. 合衆国憲法は自由を保証する歴史上最も強力なものである。」

メディアを席巻した「ラマスワミの十戒」

関連する投稿


「自動車王」も「英雄」も見事にはまった“陰謀論”|松崎いたる

「自動車王」も「英雄」も見事にはまった“陰謀論”|松崎いたる

「単なるデタラメと違うのは、多くの人にとって重大な関心事が実際に起きており、その原因について、一見もっともらしい『説得力』のある説明がされることである」――あの偉人たちもはまってしまった危険な誘惑の世界。その原型をたどると……。


人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国との「100年間の独立闘争」|石井英俊

人権弾圧国家・中国と対峙し独立を勝ち取る戦いを行っている南モンゴル。100年におよぶ死闘から日本人が得るべき教訓とは何か。そして今年10月、日本で内モンゴル人民党100周年記念集会が開催される。


「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】

「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】

月刊Hanada2025年9月号に掲載の『「習近平失脚説」裏付ける二つの兆候|長谷川幸洋【2025年9月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


ディープステートの正体|なべやかん

ディープステートの正体|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!


旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

イランとイスラエルは停戦合意をしたが、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」は今後も残り続けるのだろうか。元衆議院議員の長尾たかし氏は次のような見解を示している。「イランはホルムズ海峡の封鎖ができない」。なぜなのか。


最新の投稿


報道すればヘイトなのか 黙殺されたクルド人犯罪|西牟田靖【2025年10月号】

報道すればヘイトなのか 黙殺されたクルド人犯罪|西牟田靖【2025年10月号】

月刊Hanada2025年10月号に掲載の『報道すればヘイトなのか 黙殺されたクルド人犯罪|西牟田靖【2025年10月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


「自動車王」も「英雄」も見事にはまった“陰謀論”|松崎いたる

「自動車王」も「英雄」も見事にはまった“陰謀論”|松崎いたる

「単なるデタラメと違うのは、多くの人にとって重大な関心事が実際に起きており、その原因について、一見もっともらしい『説得力』のある説明がされることである」――あの偉人たちもはまってしまった危険な誘惑の世界。その原型をたどると……。


埼玉クルド人問題から見えた自壊する自民党と躍進する参政党|石井孝明【2025年10月号】

埼玉クルド人問題から見えた自壊する自民党と躍進する参政党|石井孝明【2025年10月号】

月刊Hanada2025年10月号に掲載の『埼玉クルド人問題から見えた自壊する自民党と躍進する参政党|石井孝明【2025年10月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【独占手記】我、かく戦えり|杉田水脈【2025年10月号】

【独占手記】我、かく戦えり|杉田水脈【2025年10月号】

月刊Hanada2025年10月号に掲載の『【独占手記】我、かく戦えり|杉田水脈【2025年10月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【読書亡羊】ウクライナの奮闘が台湾を救う理由とは  謝長廷『台湾「駐日大使」秘話』(産経新聞出版)|梶原麻衣子

【読書亡羊】ウクライナの奮闘が台湾を救う理由とは 謝長廷『台湾「駐日大使」秘話』(産経新聞出版)|梶原麻衣子

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!