「暗殺のサイン」なのか
かつて国家の中枢を担い、「正義」と「秩序」の名のもとにFBIを率いた男が、今、引退後の穏やかな浜辺で、並べられた貝殻の写真を投稿した。数字の「86」「47」だ。それはただの遊び心か、それとも深く暗い意図のある“サイン”か―。
その投稿が波紋を広げるのは、単に元高官によるユニークなSNS投稿だからではない。その奥に、私たちが目を背けるべきではない“米国の病理”が透けて見えるからだ。

8647の貝殻(コミー元FBI長官のインスタグラム投稿より)
「ワオ!元連邦捜査局(FBI)長官のジェームズ・コミーが、たった今Instagramにこれを投稿したわ。キャプションは『ビーチの散歩中に見かけたクールな貝殻の並び』。それは、“86 47”という形に並べられた貝殻の写真よ。これは、元FBI長官によるトランプ大統領暗殺の呼びかけよ!」
5月16日、突然そんな投稿が目に飛び込んできた。Xで160万人のフォロワーを持つ、急進右翼活動家のローラ・ルーマー氏(32)のものだ。
なぜ、この無言の数字が「暗殺のサイン」なのか。「86」は1930年代発の米俗語で、「排除する」「キャンセルする」、さらに転じて「殺す」という意味すら持つ言葉だ。もともとはレストラン用語だったが、今では“消す”という強いニュアンスも含む。そして「47」は、第47代大統領―つまりドナルド・トランプを指す。それを並べた「86 47」は、「トランプを消せ」という意味に読み取れるというのだ。
昨年、トランプがわずか2カ月の間に2度の暗殺未遂に遭遇したことは、まだ記憶に新しい。そして今、米国政治はまるでマフィア映画のような展開を見せ始めているのではないか―そんな不安すらよぎるが、果たして実際はどうなのか。