なぜ中国の弾道ミサイル発射に沈黙するのか
ところが安倍晋三元首相の暗殺後、岸田首相の方針は180度転換した。
8月初頭のアメリカ下院議長ナンシー・ペロシの訪台に激怒した中国は8月4日、いっぺんに11発もの弾道ミサイルを日本の周辺海域に着弾させた。
防衛省の当初の発表では、自衛隊が確認した弾道ミサイルは9発。そのうち7発が日本の与那国島方向に発射されていた。
[防衛省発表]
[毎日新聞作成]
しかも7発のうち5発は与那国島の西側上空を飛び越えて日本のEEZ内に着弾した。
これまで岸田首相は、北朝鮮の弾道ミサイルが日本や米国を射程に入れるようなものであれば、1発だけでも即日、国家安全保障会議を招集していた。ましてやEEZ内に着弾して会議を開かなかったことはない。
中国の弾道ミサイル発射は11発で日本近海に7発。このうち5発がEEZ内に着弾したのだから、岸田政権のこれまでの基準なら無条件で国家安全保障会議の緊急大臣会合を招集する重大事態だ。
ところが、岸田首相はこの中国による露骨な恫喝に対して、国家安全保障会議を開催しなかった。官邸のホームページには、国家安全保障会議のセクションがあり、そこにはこれまでに開催された全ての国家安全保障会議が列挙されている。