岸田政権と北朝鮮の弾道ミサイル
正月気分の抜け切らない今年1月11日早朝、北朝鮮が1発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。
防衛省の当初の発表では、「7時25分頃、北朝鮮の内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に1発発射。約700km未満飛翔して、我が国の排他的経済水域(EEZ)の外に着弾した」という。
[防衛省発表のミサイル飛翔ルート]
この「1発の」弾道ミサイルが「EEZの外に」着弾したことについて岸田文雄首相は、即日、国家安全保障会議を招集した。
国家安全保障会議とは、我が国の安全保障に関する重要事項を審議する機関として設置されている、政府の最高レベルの会議で、議長を務めるのは内閣総理大臣だ。通常は月2回程度開催され、国防の基本方針や防衛計画の大綱といった「平時の備え」について議論し、首相に進言する。
しかしひとたび武力攻撃事態や存立危機事態を始め、我が国の安全保障上重大な懸念が発生した場合、首相が緊急に招集する。緊急の国家安全保障会議は、その内容はもちろん、「重大な事案だと受け止めている」という政権の意志を内外に示す意味でも重要である。
例えばウクライナ戦争を巡っては2月14日、2月24日、2月25日、3月4日と、ロシアの侵攻の前後に立て続けに4回、緊急4大臣会合が招集され、アメリカ・バイデン政権に従って対ロシア超強硬路線を取るという基本方針が繰り返し確認された。
北朝鮮の弾道ミサイル発射を巡っては、岸田首相は冒頭に紹介した1月11日に加えて、1月30日、3月24日と今年だけで3回の緊急4大臣会合を招集している。
1月30日、北朝鮮は射程5000km程度の中距離弾道ミサイル「火星12」を1発、日本のEEZの外に着弾させた。この時、北朝鮮は弾頭に設置したカメラの映像を発表するなど、ミサイル技術の飛躍的進歩を誇示した。
(画像は朝鮮中央通信)