〈姉妹都市市民交流を続けてこそ〉
と題する2017年11月19日の社説で次のように反対論を展開しました。
大阪市の吉村洋文市長は「不確かな主張で、日本へのバッシングだ」と再三抗議してきた。サンフランシスコ側が方針を覆さない限り、年内にも姉妹都市提携を解消する意向だ。ちょっと待ってほしい。姉妹都市の関係のもとで育まれてきた交流は、双方の市民の歴史的財産である。市長の一存で断ち切ってよいものではない。
意見を受け入れなければ友好関係を解消するというのは、冷静さを欠いている。
私は朝日新聞に「ちょっと待ってほしい」と言われましたが、「ちょっと待ってほしい」と言いたいのはこちらのほうです。朝日新聞は、慰安婦問題について最も大きな責任を負っている新聞社であることを全く自覚していないのではないでしょうか。
先に引いたサンフランシスコ市の碑文を見ても、この虚偽の内容を広めた張本人こそ、まさに朝日新聞です。朝日新聞は2014年に、慰安婦問題に関して事実と異なる報道をしてきたと謝罪・訂正した件について、もう少し真摯に考えるべきではないでしょうか。
「訂正したのだからいいだろう」という話ではなく、海外の論調に影響を与えたことについて反省し、誤解を解くための海外向けの発信を自ら行うべきでしょう。
何より、日本国民の多くが、慰安婦問題の「嘘」について知ってしまった。碑文の内容ひとつとっても、事実でないことを多くの人が知っている。気づいているのです。だからこそ、大阪市に寄せられる声も、慰安婦像設置に反対し、姉妹都市解消に賛成するものが多いのでしょう。
アメリカでも、クリントン、ブッシュ政権時代に約8年もかけて徹底的に調査した日独の戦争犯罪に関する850万ページの資料によっても、「日本軍による組織的な慰安婦の奴隷化」を示すものは発見されなかったと結論づけられています。
たしかに、戦場における女性の性の問題は、日本も積極的に取り組んでいくべき大きな課題です。そのためには、何よりも事実」を明らかにすることが重要です。また、旧日本軍のみを問題にするのではなく、米軍、ソ連軍、ドイツ軍、時代を下ればベトナム戦争時の韓国軍の問題も含めて考える必要がある。
敗戦国である日本の行状は「悪事」に結びつきやすいのでしょうが、「日本軍だけが極めて特殊なことをやっていた」という認識では、「戦場における女性の性の問題」という大きな問題が、「旧日本軍による特異な問題」に矮小化されかねません。
また、この慰安婦像や碑文の設置を推進している団体は、「女性の人権」を隠れ蓑に日本に対する政治バッシングを行い、慰安婦を政治利用しているのだと申し上げたい。このような運動を続けても、本当の解決にはならないのです。