北朝鮮について大変興味深い報告書がアメリカで発表された。アメリカや韓国では話題となっているようだが、我が国で全く報道されない。それは北朝鮮が最も力を入れている核兵器開発に関するものだ。
アメリカに本部を置く北朝鮮人権問題の専門組織である北朝鮮人権委員会(The Committee for Human Rights in North Korea)による『核爆弾の奴隷たち(Slaves to the Bomb)-北朝鮮核科学者の運命と役割』というタイトルの報告書で、5月17日にワシントンDCにおいて記者会見も行われている。
「核爆弾の奴隷たち」の表紙
北朝鮮人権委員会(HRNK)とは、2001年10月にアメリカに本部を置き設立されたNGOで、北朝鮮の人権問題について国連やアメリカ連邦議会などで何度も訴えを行っている。
今回の報告書の執筆者であるロバート・コリンズは、在韓米軍で31年間勤務し、韓米連合軍司令部戦略部長を務めた経歴も持つ、朝鮮半島と北東アジアの安全保障問題の専門家である。韓国で脱北者へのインタビューを行い、北朝鮮の住民や人権状況に関する情報収集も行っている。
報告書全体は英文で190ページに及ぶが、後半は北朝鮮の主要な科学者のリストと、北朝鮮の科学者による学術出版物のタイトル、それぞれの著者の膨大なリストで、本文は約90ページだ。全13章まであり、北朝鮮の核開発について詳細なレポートになっている。
簡潔に言えば、「核研究所や核施設、ウラン鉱山、核兵器実験場で働く北朝鮮の核科学者、技術者、労働者は、強制労働の環境に置かれている。彼らは基本的な自由を奪われ、深刻な身体的危険にさらされている」という。