私が初めて「サンフランシスコ市が像と碑文の寄贈を受け入れるならば、大阪市は姉妹都市関係を解消する」と明言したのは、2017年9月25日のことです。
60年も続いた関係を解消することには当然、私自身も忸怩たる思いがありますし、不本意です。が、そこまでして初めて、日本側、大阪市側の抗議の意志が示せますし、信頼関係が完全に破壊された状態で姉妹都市交流を続けるほうが、自治体として問題です。
この決断について、大阪市民からは賛成の声を多くいただいています。11月末までに、市外居住者を含む方々から寄せられたご意見は1347件。そのうち、姉妹都市解消に賛成するものは969件。反対は104件でした。そのほか、合計で1100件あまりが、少なくとも慰安婦像の設置に反対するものでした。
朝日新聞大阪版が
〈「姉妹都市解消、勝手にするな」「慰安婦像「問題」で抗議〉(2017年12月9日付)
などと記事にしているように、たしかに特定の団体からは抗議の声が寄せられてはいます。
しかし市民の広い声に耳を傾ければ、「慰安婦像受け入れはけしからん」「姉妹都市解消もやむなし」とする声が圧倒的に多い。もちろん、姉妹都市交流の重要性を指摘する声もあります。私自身も交流を重視しているからこそ、サンフランシスコ市側に「姉妹都市交流60周年の節目の年に、信頼関係を破壊するような慰安婦像の受け入れを認めないでほしい」と再三にわたって要請してきたのです。
通常の都市間交流とは違い、姉妹都市の場合には英訳で「sistercity」というとおり、分野を問わない包括的な連携を行い、場合によっては特別な税を投入します。このような姉妹都市交流には当然、双方の間の強固な信頼関係と市民の理解が必要です。
にもかかわらず、大阪市の再三にわたる要請を置き去りにし、日本政府の要請までも無視して、サンフランシスコ市が積極的な姿勢で慰安婦像受け入れを決めたことで信頼関係が崩壊してしまった。こうなった以上は、むしろ何もなかったかのように交流を続けることのほうがおかしいのではないでしょうか。
事情に詳しい人のなかには、「姉妹都市解消は、日米分断を目論む中韓団体の思う壺だ」という理由で反対する声もあります。しかし像に加え、嘘ばかりの碑文に対して黙っているほうが思う壺です。形だけの抗議では、相手に「日本は慰安婦像について、国内向けに形ばかりの抗議はするが、国際的には最後は黙認する」という誤ったメッセージを与えることになります。
現在、姉妹都市関係の解消は、すでに大阪市役所内では意思決定を終え、相手に通知すれば完了する段階まで準備は整っています(注:2018年1月末時点)。リー前市長の急逝によって手続きを一時停止していますが、新市長が任命された段階で通知を行う予定です。
もちろん、これで終わりではありません。姉妹都市は解消となりますが、60年間継続してきた歴史は残ります。なぜ、ここまで続いてきた関係を解消するほど大阪市は強い抗議の意思を持っているのか、慰安婦像の設置、碑文の内容がどれだけ問題かなど、サンフランシスコ市が「慰安婦の日」と定めた9月22日に、改めて大阪市民にも閲覧可能な公開書簡で抗議の意を示す方針です。
許しがたい朝日新聞の社説
姉妹都市解消について、朝日新聞は、