慰安婦像問題 なぜ日本は負け続けるのか|山岡鉄秀

慰安婦像問題 なぜ日本は負け続けるのか|山岡鉄秀

――なぜ、韓国のみならず、世界中に日本の慰安婦制度に関する碑や像が立ってしまうのか。大阪市が姉妹都市交流を解消したサンフランシスコ市の事例から、日本側が抱える根本的な問題に迫る――


かくして決議案は、自民党、公明党、共産党などの反対多数によって再び否決された。

それにしても、慰安婦像と碑が建てられ、「慰安婦の日」まで制定されてしまう事態に陥ってから「これはあくまでも橋下徹とサンフランシスコ市との関係で、大阪市は関係ない」と主張する有本議員の発言には驚かされる。

2013年の橋下前市長の発言から、すでに4年の歳月を経ているのだ。市長も代わり、最悪の事態を迎えている。繰り返し尋ねるが、大阪自民はこれまで具体的にどのような努力をしたのか? 対話のために議員団を派遣したのか? ぜひ、有本議員にご教示願いたい。

議事録には出てこないのだが、実は大阪自民にはもうひとつ大きな反対理由があったことが文書で明らかにされている。それはトランプ大統領の来日だ。以下、引用する。

〈安倍総理が北朝鮮問題に対峙するにあたり、アメリカとの関係をより強固にしようとしているこの時期に、サンフランシスコと大阪という日米の第二都市同士が姉妹都市を解消するなどという決議をしたら、来日するトランプ大統領の顔に泥を塗ることになり、結果、政府が進める日米関係の強化に大きな汚点を残すことになる〉

残念ながら、アメリカ人はそのように考えない。そもそも、サンフランシスコ市は不法移民の摘発も許されないサンクチュアリシティで、反トランプの急先鋒だ。トランプの顔など頓着しない。

さらに、いまや中国の自治区化が顕著で、上記のようなトンデモ碑文が全会一致で可決されてしまう土地柄だ。地方分権が明確なアメリカは、連邦と州の峻別がはっきりしている。

アメリカとの関係強化は連邦政府との関係で決まる。大阪市は自治体の立場でサンフランシスコ市と相対せばいいのであって、国政を慮って一方的に譲歩しても、何の得点にもならないのが現実だ。

橋下前市長は何と言ったか

大阪維新と大阪自民のどちらに理があるかは各読者の判断に委ゆだねるとして、ここで諸悪の根源と非難されている橋下前市長がサンフランシスコ市議会宛てに2015年8月27日付で送った公開書簡の内容を検証してみよう。

自民党議員が一貫して問題にしている2013年の発言から2年が経過している。全8ページにわたる長文だが、趣旨は下記の抜粋に要約されると考える。

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