譲歩しても何の意味もない
さて、事態はまったく好転しないままに4カ月が経過し、2017年9月19日にはサンフランシスコ市議会において、慰安婦像および碑の設置日である2017年9月22日を「慰安婦の日」に制定する決議案が可決され、9月22日には予定どおり、サンフランシスコ市の公有地となる予定であるセントメリーズ公園の展示スペースに慰安婦像と碑が設置されてしまった。
この事態を受けて、大阪維新の会は9月27日、再度同様の決議案を議会に提出する。
高見亮大阪維新の会議員の賛成討論を見てみる(要旨抜粋)。
〈二元代表制の一翼を担う議会としての意思表明がなければ、サンフランシスコ市としても本市の意図を曲解する余地が出てしまいかねません。現にサンフランシスコ市議会は、慰安婦に対する認識を明確に決議案という形で表明されております。
その一方で、残念なことではございますが、本市においては本年5月に慰安婦像の設置の再検討を求める決議案が議会で否決され、議会としての意思を表明することがいまだできておりません。
むしろこの否決された事実を見て、結果として、サンフランシスコ市に対し本市の議会は慰安婦像を容認しているかもしれないといった、本市市民が全く思ってもいない誤ったメッセージをおくってしまっているかもしれないと考えると、余りにも事は深刻であり、議会人としてじくじたる思いであります〉
次に、自由民主党市民クラブの有本純子議員の反対討論を見る(要旨抜粋)。
〈慰安婦問題は国会の専権事項である外交問題であり、一昨年の12月に日韓両国政府がこの問題を最終的かつ不可逆的に解決すること、さらに今後国際社会において互いに非難・批判することを控えることで合意しており、現在も引き続き日韓両国政府が努力している最中にあります。そのような国の動きとは別に我々地方議会が先頭を切ってこのような決議を行い、都市間交流や友好関係を混乱に陥れる必要があるのか、全く理解できません。
2013年6月18日にサンフランシスコ市議会が、1930年代から第二次世界大戦にかけての日本の占領下にあったアジア諸国において日本が行った性奴隷制度が軍事的に必要なものであり、日本政府によりみずからの意思に反し強要されて性奴隷になった証拠はないとした橋下市長の最近の一連の発言を非難する決議をされたことが事の始まりです。
そもそもはサンフランシスコ市議会と政治家橋下徹との間の問題であり、大阪市とサンフランシスコ市の問題ではありませんし、大阪市会とサンフランシスコ市議会との問題でもありません。そのことを抜きにした吉村市長の発言と今回のような決議案を出された維新の無責任さを感じます〉