朝日新聞「伝承館語り部検閲記事」は即刻、撤回すべきだ|渡辺康平

朝日新聞「伝承館語り部検閲記事」は即刻、撤回すべきだ|渡辺康平

被災者を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい!「東日本大震災・原子力災害伝承館」を巡る悪意に満ちた印象操作と誘導尋問――いま朝日新聞の報道によって深刻な被害が生じている。繰り返される報道被害。被災者を貶め続ける朝日新聞の大罪!


ただ、「登録」した人全てに等しく語り部の依頼が来るわけではない。当然、来館者によってどんな話を聞きたいのか、ニーズのばらつきがある。

「学校研修や団体研修において、どのような口演を聞きたいかという要望に応じて、口演の講師を選定する」(伝承館関係者)際の判断材料に、例えば、「避難先の話を中心に話してほしい」「地震と津波の実体験を話してほしい」という研修カテゴリーにあわせて、講師を選定するということなのだ。

語り部の話は基本的に1回40分。多くの来館者の伝承館に滞在できる時間は限られている。貴重な時間の中で、聞きたい話とは違う話を聞かされれば、それは来館者にとっても、語り部にとっても不幸なことだろう。原稿を参照しながら、どんな内容の話をする語り部なのか把握する、もしその内容が変わるならば原稿の内容を更新して提出してほしい。これは当然の流れであり、伝承館関係者やスタッフに連絡をすればすぐに確認できることだ。

しかも事前に原稿を用意させたのは語り部が自分の話す内容を整理し、伝承館のスタッフがサポートするうえで必要であったのであって、実際に語り部として話す際に、一言一句その通りに話す必要もない。話を聞いた語り部は、「そもそも、口演を行う語り部は原稿を読まない」と証言する。

さらにマニュアルに書かれた「講師選定」については、「学校研修や団体研修において、どのような口演を聞きたいかという要望に応じて、口演の講師を選定するもの」であり、1日4回実施される通常の語り部口演には当てはまらない。

朝日はこうした事実を一切書いていない。朝日はマニュアルの中に書かれていることを意図的に書いておらず、極めて悪質な印象操作を行っている。

産経新聞の報道

一方、産経新聞には、伝承館で来館者に展示などについて解説するアテンダントを務める泉田淳さんのインタビュー記事が掲載された。泉田さんは元教師。東日本大震災で被災、〈今年3月、38年間の教師生活にピリオドを打ち〉、アテンダントになったという。泉田さんは次のように話す。

〈「来館者への説明だけでなく、教員経験を踏まえて、語り部を務める人たちに話し方のコツをアドバイスしたりもします。事実を間違いなく、ありのままに伝えることが大事だと考えています」〉

〈「犠牲者の冥福を祈り続ける中で、自分の経験を通して命を守る大切さを伝えられれば…。自分は決して立派ではありません。でも、原発災害を知らない人に大変さを知ってほしい。逆に経験者は当時を思い出すかもしれない。そんなときは『ひどかったよね』と寄り添いたい。できる限り的確な言葉で、ありのままを伝えたい。そして、来館者に自分なりの考えを導いてもらいたいと思います」(芹沢伸生)〉(10月16日付産経新聞【想う】「ありのままに伝える」 東日本大震災・原子力災害伝承館のアテンダント、泉田淳さん(61))(https://www.sankei.com/smp/affairs/news/201016/afr2010160027-s1.html

語り部が語る朝日報道への疑問

私は10月8日に伝承館を視察し、2人の語り部の方から直接お話を伺った。原発事故時も現在も浜通り在住で、地域貢献の活動も熱心にされている方で、匿名のため2人の名前をAさん、Bさんとする。

――朝日新聞の記事内容について、率直にどう思ったか。
A なぜこのような記事になったのか驚いている。朝日新聞の記者に書かれたような話をする語り部は聞いたことがない。
B 記事によってある語り部の方は、不安になり体調を崩した。あの記事が書かれてから、何を話していいか分からなくなると話す人もいる。

――記事に書かれた「特定の個人や団体への批判及び誹謗中傷の禁止」について、どのように思うか。
A 語り部は東日本大震災と原子力災害について、事実をもとに話している。伝承館から語り部にお願いされたのは「語り部は自由にのびのびと話してほしい」ということ。
B 私達が受けた災害の不条理を子供達に受け継いでいく。災害の不条理とは、当時は5回から6回避難場所を転々とすることになったこと、スクリーニングをしなかった為に、避難所にいれてもらえなかったこと等。語り部は聞く人たちに、分かりやすく、心に入っていくように話している。そこに特定の個人や団体を批判することは合わない。国や東電の批判をするのは政治家やジャーナリストの仕事であり、語り部の仕事ではない。

――記事ではまるで「伝承館と機構による語り部への検閲」が行われているかのような印象だが。
A 検閲のようなものはない。語り部育成事業は2年前から始まり、年4回の講座を受けてきた。講座では原稿作成の仕方、口演の仕方を学んだ。語り部は双葉郡や南相馬市の地元民であり、人前で話す専門家ではないため、トレーニングを繰り返してきた。
B 記事を読むと「伝承館の意に沿わないことを書くと削除される」かのような印象だが、そんなことは全くない。

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