明確に掲げたのは高市早苗氏だけだった
以下特に、日本の新政権がとるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討していきたい。
自民党が新総理総裁の下でまず力を傾注すべきは、経済の活性化である。
1980年代にアメリカで保守再生、「勝利によって冷戦を終わらせる」を強力に推進したロナルド・レーガン政権も、国内的には、まず減税、規制改革による経済活性化から手を付けた。そこから生まれる自然増収がなければ、国防充実も絵に描いた餅となる。
来年トランプ政権が誕生すれば、アメリカは再び「レーガン保守」の方向に舵を切る。遅れず付いて行かなければ、日本のみ梯子を外されて、先進国から転落する事態となりかねない。
自民党総裁選で、「積極財政」「経済成長」「税率を上げずとも税収を増やす強い経済を支援する」などを明確に掲げたのは高市早苗氏だけだった。その高市氏にしても、減税の部分は弱かった。食料品に限る形であっても消費税減税などを経済活性化の柱として打ち出すべきだったろう。
再エネ賦課金の廃止を
また、再エネ賦課金(実態として、太陽光パネル利権税にして対中納税)の廃止は電気料金引き下げとなり、生産拠点としての日本を再生させることにつながる。国民民主党が主張してきたガソリン減税など、本来自民党が率先して行わねばならない。物流費全般を押し下げ、その分、間違いなく経済を活性化させる。これらは、増税、緊縮を「省是」とする財務省(不況製造省)と戦う姿勢を占う試金石でもある。
ついでに言えば、取って付けたように「増税ゼロ」を看板に掲げた茂木敏充幹事長も、減税は頭の片隅にもなかったようである。氏の「増税ゼロ」は、裏を返せば「減税ゼロ」であり「大胆さゼロ」と言うほかない。しかしこれが、財務省の掌で踊る自民党の限界なのであろう。
「レーガン保守」という言葉が定着し、減税姿勢を打ち出さなければリーダーと見なされない米共和党では、茂木流「増税ゼロ」などを掲げた途端、ライバルから総攻撃に遭う。