実は、今回の不正疑惑の中心人物である尹美香議員を囲む人脈は、全て北朝鮮につながる左派勢力である。
1990年に創設された韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の幹部は、1980年代に大学生として左派運動に参加した女性活動家が中心だ。尹美香は92年から挺対協幹事を務めた。その後、事務局長や事務総長を歴任。2018年に慰安婦関連市民団体が組織を統合運営することになり、正義記憶連帯の理事長となった。
尹美香以外にも、慰安婦問題の多くの女性活動家が政府高官や青瓦台に入った。池銀姫前女性部長官は元正義連理事長、五期議員を務めた李美卿韓国国際協力団理事長は挺対協総務、シン・ミスク前大統領均衡人事秘書官は挺対協実行理事出身だ。韓慶煕正義連事務総長は青瓦台(大統領府)広報企画秘書官キム・グチョル氏の妻である。
さらに尹美香議員の夫・金三石氏は、京畿道水原市の水原市民新聞代表という肩書をもった、筋金入りの左翼活動家である。
金氏は1993年、日本とも関連したスパイ事件に関連して、国家保安法違反で拘束された。前年の92年は反核平和運動連合政策委員として、デパート店員だった妹と日本に渡り、韓国政府から反国家団体と指定されていた「在日韓国民主統一連合」関係者と会い、金銭を授受した疑いで立件されたのだ。大法院で金氏は懲役4年の実刑、妹は懲役2年、執行猶予3年の宣告を受けている。2014年の再審請求で一部減刑されたが、事実は変わらない。
1997年に出所した金氏は、2005年に水原市民新聞を創刊。同地域の教会関係者や牧師らと図って「京畿民主言論市民連合」 「水原経済正義実現市民連合」などの地方組織を作り、左派系牧師らとともに容共組織を作った。妻の尹美香が権力を掌握した正義記憶連帯の運営委員にもなり、背後から操っている。
2008年3月から水曜集会を主導したのも水原市民新聞グループであり、日本大使館前の慰安婦像に集まった女子高校生らも、水原地域から多く動員されたことが判明している。
この水原市民新聞の実態は、相当いかがわしい。同紙は京畿道庁や水原市庁に三名の記者登録をしている。
しかし、キム・ヨンアと名乗る記者が2012年10月から2020年5月12日まで、なんと合計7万2000件もの署名記事を書いているのだ。公休日を除いて、毎日平均38本の記事を書いている計算だ。
しかもあるメディアの取材で、「キム・ヨンアと名乗る記者は実在しない」と水原市庁が答えている。つまり、幽霊記者が一人で記事を書きまくっているのだ。
夫も金銭疑惑で追及を
金三石氏は、2008年には韓国インターネット言論社協会常任会長に就任。弘済言論人協会会長の肩書を利用しながら、左派陣営の言論形成に影響を与えてきた。2013年4月には、戦争反対平和実現水原非常時局会議の中心メンバーにもなっている。
興味深い点は、金三石氏も妻の尹美香と同じような金銭疑惑、公金不正流用などの追及を受けていることだ。
水原市民新聞は2005年5月に発足した際、個人と団体を対象に発起人を呼びかけ、設立基金として1億8000万ウォンを集めた。文化体育観光部の資料によれば、同新聞は法人でなく、個人事業者として登録されているため株式を発行することができず、設立資金の行方はいまでも不透明だという。
さらに、韓国では1000万ウォン以上の寄付を集めるには地方自治体に登録しなければならないが、水原市民新聞はその登録をしていない。
それだけではない。金氏は水原市民新聞を武器にして、全国の16大学を相手に脅迫まがいの情報公開請求を繰り返していた。
ある法曹関係者は、金氏が2013年頃、水原市内で某大学広報関係職員と会い、「情報公開請求をすると、弁護士費用だけでも1000万ウォン以上かかる。それに大学の業務が麻痺する可能性もある。自分の新聞に300万ウォン出してくれれば、情報公開請求を撤回する」と金銭を要求したと証言している。
このような脅迫で約6000万ウォンを騙し取ったとして、2019年6月には一審で懲役1年の宣告を受けている(現在、上告中)。
夫は左翼ゴロツキの常套手段を使い、妻は慰安婦団体という聖域を隠れ蓑にして私腹を肥やしてきたのだ。とんでもない夫婦である。
今後の行方は、尹美香議員と正義連の問題は、検察の捜査結果にかかっている。 検察が慰安婦という聖域を避けるのか。それとも、その恥部を満天下に明らかにするか。
日韓両国の聖域(タブー)である慰安婦問題と慰安婦団体の実態が明るみに出ることによって、新たな日韓関係の局面が生まれてくることを期待したい。
(翻訳:成田順美)