新型コロナ 政府の初期対応は 「敗戦」だった|乾正人

新型コロナ 政府の初期対応は 「敗戦」だった|乾正人

はっきり言えば初動は完全な失敗だった。「緊急事態宣言」に至るコロナ禍における安倍政権の迷走は、「敗戦」に等しい──産経新聞論説委員長の乾正人氏がズバリと明言。永田町取材を30年以上重ねてきた乾氏だからこそ言える、愛のある痛烈批判!(初出:『Hanada』2020年7月号)


前代未聞の予算組み替え

実は新型コロナ対応をめぐって、誰も指摘していない大きな出来事が一つありました。

政府・与党は新型コロナの経済対策として、減収世帯に限った30万円給付案を考え、補正予算案を組んでいましたが、国民から猛反発を受けて、対象を絞らずに一律10万円を給付する案に切り替え、補正予算案も新たに組み替えました。

「予算を組み替える」なんて前代未聞のことです。しかも連立を組んでいるとはいえ、他党である公明党の要求をんだ形になる。本来なら、これだけで内閣総辞職ものの失態と言えるのですが、非常時ゆえに問題視されずに終わりました。

しかし見方を変えたら、「予算を組み替えることができる」前例になったと言えます。これまで政府は財務省が決めた案を提案し、きっちり国会で通すことが役目でした。前例主義の国会では、予算を組み替える前例がないので、それを通すのは当然だった。

ところが今回、前例ができてしまったので、今後は財務省の案に対して、与党が考えを示し、組み替えさせることができるようになった。政治主導として、これはエポックメイキングな出来事と言えるのです。

新型コロナウイルスは日本の政治をはじめとして、様々なことが変化するきっかけになる。それをできるだけ良い変化にするのが、我々の務めです。

官邸コロナ敗戦 親中政治家が国を滅ぼす

著者略歴

乾正人

https://hanada-plus.jp/articles/390

産経新聞論説委員長。平成元年より政治部記者。竹下・宇野・海部首相の番記者を経て、首相官邸、自民党や社会党など政党を主に担当。平成八年から防衛研究所で安全保障政策を学ぶ。民主党政権時代には発足当初からその無責任ぶりを厳しく批判。編集局長時代にはトランプ大統領当選翌日の一面コラムでトランプ肯定論を執筆、大きな反響を呼んだ。

関連する投稿


「パンダ」はいらない!|和田政宗

「パンダ」はいらない!|和田政宗

中国は科学的根拠に基づかず宮城県産水産物の輸入禁止を続け、尖閣への領海侵入を繰り返し、ブイをEEZ内に設置するなど、覇権的行動を続けている。そんななか、公明党の山口那津男代表が、中国にパンダの貸与を求めた――。(写真提供/時事)


日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日中首脳会談が約1年ぶりに開催された。岸田総理は日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置されたブイの即時撤去等を求めたが、中国は「ゼロ回答」であった。聞く耳を持たない中国とどう向き合っていけばいいのか。(サムネイルは首相官邸HPより)


望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

ジャニーズ事務所会見での「指名NGリスト」が騒ぎになっているが、そもそも記者会見とは何か、ジャーナリズムとは何か、それらをはき違えた人物たちにより我が国のジャーナリズムが破壊されることは、ジャーナリズム出身者としても許せない。(サムネイルはYouTubeより)


追い込まれた岸田政権、いまこそ大胆な政策を!|和田政宗

追い込まれた岸田政権、いまこそ大胆な政策を!|和田政宗

第2次岸田再改造内閣が昨日発足した。党役員人事と併せ、政権の骨格は維持。11人が初入閣し、女性閣僚は5人と過去最多タイとなった。岸田政権の支持率向上を狙うが、早速、「この内閣は何をする内閣なのか?」という疑問の声が私のもとに寄せられている――。(サムネイルは首相官邸HPより)


インボイス反対派を完全論破!|デービッド・アトキンソン

インボイス反対派を完全論破!|デービッド・アトキンソン

10月から開始されるインボイス制度。反対論が喧しいが、なぜ、子供からお年寄りまで払っている消費税を、売上1000万円以下の事業者というだけで、免除されるのか。 まったく道理が通らない!


最新の投稿


川勝知事のヤバすぎる「不適切発言」が止まらない!|小林一哉

川勝知事のヤバすぎる「不適切発言」が止まらない!|小林一哉

議会にかけることもなく、「三島を拠点に東アジア文化都市の発展的継承センターのようなものを置きたい」と発言。まだ決まってもいない頭の中のアイデアを「詰めの段階」として、堂々と外部に話す川勝知事の「不適切発言」はこれだけではない!


【今週のサンモニ】田中優子氏「立ち止まれ」発言の無責任|藤原かずえ

【今週のサンモニ】田中優子氏「立ち止まれ」発言の無責任|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。外交交渉の具体的アイデアを全く示すことができないコメンテーターたち。


「パンダ」はいらない!|和田政宗

「パンダ」はいらない!|和田政宗

中国は科学的根拠に基づかず宮城県産水産物の輸入禁止を続け、尖閣への領海侵入を繰り返し、ブイをEEZ内に設置するなど、覇権的行動を続けている。そんななか、公明党の山口那津男代表が、中国にパンダの貸与を求めた――。(写真提供/時事)


中国で逮捕された邦人の救出に全力を尽くせ|矢板明夫

中国で逮捕された邦人の救出に全力を尽くせ|矢板明夫

数カ月もすると、拘束される人は精神状態がおかしくなり、外に出て太陽の光を浴びるため、すべてのでっち上げられた罪を自白する人もいる。中国当局のやり方が深刻な人権侵害であることは言うまでもない。


首相から危機感が伝わってこない|田久保忠衛

首相から危機感が伝わってこない|田久保忠衛

ハマスやレバノンの武装勢力ヒズボラをイランが操り、その背後に中露両国がいる世界的な構図がはっきりしてこよう。