早期の解散の判断は誤りではなかった
早期の解散の判断は誤りではなかったと思う。新総理が誕生すれば、解散して国民に信を問うことは何らおかしなことではないし、岸田政権においても総理就任後すぐに解散総選挙を実施した。
では、なぜこのような結果となってしまったのか。それは、政治資金不記載問題での公認・非公認がクローズアップされたことによるものと考える。共同通信の出口調査では、政治資金問題を考慮して投票した人が74%に上った。
非公認となった候補はメディアに大きく取り上げられ、重複立候補とならなかった候補も折々に取り上げられ、ほとんどの野党候補は演説の冒頭で「裏金問題」と述べ、自民党を攻撃した。政策の中身というよりも、政治資金不記載問題を一番の争点にされてしまった。
しかも、この不記載問題が再クローズアップされるきっかけは自民党が作ってしまった。10月1日に石破茂新総裁が解散総選挙を行うとの方針を示した後、6日には不記載があった議員のうち「党員資格停止」の処分を受けた議員などを公認しない方針を示した。また、不記載があった議員は処分の有無にかかわらず、小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない考えを示した。
そして、9日に非公認候補の最終決定がなされたが、この間、ワイドショーやニュースにおいては、誰が非公認になるのか、誰が重複立候補できないのか、不記載の金額はいくらなのか、こうした内容が繰り返し放送された。これにより国民は、改めて政治資金の不記載問題に着目することとなった。
国民民主党にお株を奪われた?
私は、公認・非公認を区別するにしても、1日で判断できなかったのか、と思う。
さらに、私は区別するのではなく別のやり方もあったのではないかと考える。不記載のあった議員も一括で公認するという方法である。その前提として、まだ各議員の政治団体にある不記載の額を返納させる。派閥は解消しているので党に返納させる。そして、それを能登の震災の被災地などに寄付をする。
そうすれば、「政治資金として使ったのではなく自分の懐に入れたのではないか」「懐に入れているのだから税金を払うべきだ」などの論は、返金しているのでなくなる。あとは、法的責任の有無や、道義的責任について、有権者にしっかりと説明を尽くす。一括公認し、党全体が一丸となって不記載問題を反省し、党改革、政治改革を行っていく。こうであれば、公認・非公認がクローズアップされることもなかった。
一方、政策面での国民の反応はどうだったのか。私は全国各地に応援に入ったが、「石破政権はどんな経済政策なのか?」との質問をあちこちで受けた。党の広報本部の分析などにおいても国民の間には同様の意見が多く、選挙戦序盤の18日には党より石破総理総裁サイドに、演説における経済政策の強い打ち出しが提言され、それ以降、石破総理も演説において経済政策を強く打ち出すようになった。
しかし、安倍政権における「アベノミクス」などのわかりやすいフレーズを打ち出すことが出来なかった。菅政権では国政選挙はなかったが「規制改革」、岸田政権においては「賃上げ」といったわかりやすいフレーズを用いていた。
これに対し、躍進した国民民主党の玉木代表は「手取りを増やす」というわかりやすいフレーズを多用し、支持を広げた。「103万円の壁」についてもそうである。しかしながら、そもそもこれらの政策は、自民党が強く打ち出してきたものであり、アベノミクスに近い経済政策を打ち出している国民民主党にお株を奪われてしまった。我が党は経済政策におけるわかりやすいフレーズを国民に示していかなければならない。