話を2人の脱北者に戻そう。統一部長官の金錬鉄は11月8日、国会予算決算特別委員会の全体会議で、「彼ら(2人の脱北者)が亡命意思を明らかに表現したのか?」という共に民主党の金玄権議員の質問に対して、「(漁民たちが)『死んでも(北に)戻りたい』という供述もはっきり行った」と述べた。
この言葉を信じることができるだろうか? 彼らは、1人を殺しても北朝鮮に戻れば銃殺刑に処されることを知っているのに、16人も殺しておいて「北朝鮮に死んでも戻りたい」と言ったというのだ。
一方、金銀漢統一部副報道官は、7日の会見で北送された2人の脱北者が「韓国への亡命意思を明らかにしていた」と述べた。上司と部下の主張に全く辻褄が合っていないのだ。
さらに李相旻統一部報道官は、「(これらの殺人行為が)前例のない凶悪犯罪だという事実と経路、行跡などを総合判断したとき、亡命の意思がないものと最終的な結論を下した」とした。韓国政府の発言に全く一貫性がない。
韓国のメディアでは、2人の脱北者が亡命の意思を明らかにすると「統一部と国情院は北朝鮮に送還させるかどうかで相当悩んだ」と報じられている。そして、最終的に青瓦台で「2人を北朝鮮に返せ」と強制送還を決定したという。青瓦台の最終決定権者は、言うまでもなく文在寅である。
目隠しをして板門店まで護送
強制送還決定後、警察が2人に目隠しをして板門店まで護送した。板門店に到着し、目隠しをとると、そこで初めて2人の脱北者は自分たちが北朝鮮に強制送還されることを知り、絶望のあまりその場で卒倒してしまったという。そこにいた誰もがこの後、北朝鮮でこの2人がどのような運命を辿るかを知っていた。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、「北朝鮮の極めて残虐な司法制度の下へ2人を帰したことは国際法に違反する」と韓国政府を厳しく非難した。
文在寅は、他の弁護士が引き受けないような凶悪殺人犯の弁護を自ら名乗り出て引き受けてきた人権派弁護士ではなかったのか。2人の脱北者が「凶悪犯」であるならば、彼らの弁護を自ら進んでするのが文在寅ではなかったのか。
文在寅と金錬鉄は、納得いく説明をすべきだ。脱北者を北朝鮮に送還するのは殺人に等しい行為で、もし確たる証拠がなければ彼らは殺人者であり、法的責任を問うため、彼らを大韓民国刑法で訴え国際刑事裁判所に告発する。