韓国教科書の歴史歪曲
ところが、韓国では事実を徹底的に歪曲しており、暴虐行為を働いたのはすべて日本の憲兵・警察や軍隊だったことになっている。韓国の国定教科書の次の記述をお読みいただきたい。 「万歳デモが拡散すると、日帝は憲兵警察はもちろん軍人まで緊急出動させ、デモ群衆を無差別殺傷した。晴州、砂川、孟山、送安、南原、陜川などの地では日本軍警の銃撃により数十人の死傷者を出し、堤岩里では、全住民を教会に集合させたあと、監禁して火をつけ虐殺した。
また、デモに参加したという理由で無数の人々が投獄され、日本警察に非人道的な刑罰を受け、多くの人々が命を失った。当時、万歳デモに参加した人員は200万余人であり、日本軍警に殺された人は7500余人、負傷者は16000余人、逮捕された人は47000人余であり、壊されたり燃やされたりした民家は720余戸、教会が50カ所、学校が20カ所だった」
また、韓国小学校社会科教科書には次のように書いてある。 「日本は独立万歳を妨害するために、あらゆる悪行を犯した。彼らは太極旗を持って万歳を叫ぶ人々に向かって銃を撃ち、民家や教会、学校に火をつけ、はなはだしくは一村の住民すべてを殺してしまったこともあった。柳寛順(ユグアンスン)をはじめ、数多くの人びとが死んだり投獄されたり、あらゆる拷問で苦しめられた」
さらに、国定中学校国史教科書にもこう書いてある。 「10歳にならない少女と婦女子、そして女学生らが自分の祖国のため情熱を注ぎ、独立を叫んだという単純な罪名で、恥辱的な扱いを受け、体をなぐられた。幼い少女たちも残酷になぐられ、7歳以下の幼い少女ら300余名がすでに殺害されたと知らされた」
上の韓国の教科書の記述に対して、金完燮は『親日派のための弁明2』(扶桑社)のなかでこう反論している。 「学校の教科書では(日本に関連した他の部分も同じだが)事実を概して糊塗し捏造している。まるで平和なデモをしていた朝鮮人たちを、日本軍警が無差別に虐殺したかのように述べている。もし日本軍警がそのように対応したとしたら、万歳デモは初期に鎮圧され、全国に拡散さえしなかっただろう。
当時の日本軍警は、平和的なデモに対してはデモ隊を保護し、殺人と破壊を行う暴徒や鎮圧軍警を攻撃するデモ隊に対してのみ、治安維持と正当防衛の次元で武力を行使したのである。堤岩里事件についても『全住民を教会に集めて虐殺した』という主張はとんでもない」
金完燮が指摘しているように、当時すでに近代的法治国家であった朝鮮で、教科書に書いてあるような蛮行が日本の官憲や軍によって行われるはずがないだろう。
『韓国の高校歴史教科書 高等学校国定国史』(三橋広夫訳 明石書店)