日本と台湾が韓国の生命線 今こそアジア反共自由同盟の結成を|邊熙宰(ピョンヒジェ)

日本と台湾が韓国の生命線 今こそアジア反共自由同盟の結成を|邊熙宰(ピョンヒジェ)

歴史を振り返れば韓国にとって日本と台湾がいかに重要かは一目瞭然だ。いまトランプ大統領は中国を牽制するために日本と台湾を中心とする「反共自由主義ネットワーク」を構想しているが、中国にすり寄る文在寅大統領の韓国はこの構想から完全に除外されている。このままでは韓国は確実に危機に陥る。韓国政府がまずすべきはこれまで日本と台湾に犯してきた外交的非礼を糺すことだ。


筆者が韓国の拘置所から出た直後の6月1日、米国国防部が新たな『インド太平洋戦略報告書』を発表したという情報が入ってきた。この報告書では「シンガポール、台湾、ニュージーランド、モンゴル等の全4"国家"は世界中で米国が遂行している任務に寄与し、自由で公開された国際秩序を維持するために積極的に行動している」とし、米国が台湾を実質的に国家として認定していることを明らかにした項目が出ている。

報告書には「台湾に対する中国の継続する圧迫キャンペーンを勘案する時、我々(米国と台湾)のパートナーシップは必須的である」と記されており、「国防部は台湾が十分な自己防衛能力を維持するために必要な国防物資と支援を全幅的に提供する」とまで書かれた。米国が台湾を守るという意志を明白にしたのである。

こうした台湾に比べ、逆に中国側に立つ文在寅の韓国は米国のパートナーシップ国家から排除されている。闇雲に中国側に立って台湾を冷遇した文在寅政権は今やトランプ政権が主導する米国の新しい東アジア秩序から除け者にされている。特に台湾との関係を断絶した時、恣行(しこう)した外交的無知と非礼を最近、日本に対しても1965年韓日請求権協定を平気で背くなどそのまま繰り返し、軍事的、経済的報復をされる危機に陥っている。

米国と日本に排斥されたことで、金正恩による連日のミサイル発射だけでなく、中国とロシアの戦闘機、軍艦による韓国の領海侵犯にも文在寅は手をこまねいている。怖気づいた文在寅は大統領主催の国家安保会議(NSC)すら開けていない状況である。

ソウルで「韓国と台湾国交正常化宣言式」を行う

筆者は韓国が生存するためには民間レベルでも台湾との関係を回復していくことが非常に重要だと考えている。そのため、8月23日、筆者は前MBC北京特派員の朴サンフ、ベストセラー『反日種族主義』の共著者である李宇衍(イウヨン)、そしてメディアウォッチの読者100余名と共にソウル光化門の台湾代表部前にて「韓国と台湾国交正常化宣言式」を行った。

参加者たちは皆、太極旗と青天白日満地紅旗を持って出席し、韓国の「愛国歌」と台湾の「中華民国国歌」も共に歌った。式前と式後には台湾の歴史を紹介するドキュメンタリー映像、台湾が誇る最高の歌手・鄧麗君(テレサ=テン)の梅花、そして台湾の軍歌もかけた。ソウルの一角で韓国国民が台湾を記念する行事を行ったのだ。

筆者はこの行事で次のような内容の演説をした。
「1992年8月24日、中華民国国民は大使館前で国旗を降ろしながら胸の中に国旗を掲げていました。2019年、韓国国民が中華民国国民の胸の中に掲げた国旗を取り出し、共に掲げなくてはなりません。外交も人が行うこと、人としての道理を尽くしてこそ外交も解決でき、韓国が生存出来るのです」

この日、現場に取材に来た台湾メディアは中央通訊社と中広新聞網等だった。特に台湾の国営通信社である中央通訊社が23日、「台湾と韓国の国交回復を叫びながら韓国人100余名が台湾のために集まった(呼籲台韓恢復邦交南韓近百人集会挺台湾)」という見出しの記事を掲載し、関連取材報道を主導した。この報道を基に多くの台湾現地メディアが韓国での集会について詳細に報じた。

台湾の衛星放送の中で最も影響力がある24時間ニュース専門チャンネル三立新聞網をはじめ、日刊紙では蘋果日報(発行部数で自由時報と1、2位を争う最も影響力がある新聞)、経済日報(発行部数3位の聯合報が発行する最も影響力がある経済紙)も集会の様子を報じた。

中華民国CNA放送

2019年8月23日、韓国ソウルの駐韓台北代表部前で、韓国-台湾の国交正常化宣言式が開かれた。(中華民国CNA放送)

インターネット新聞もヤフーニュース(台湾最大の検索ポータルが提供するニュースサービス)、新浪、Sina(中国上海に本社を置く中華圏最大のインターネットニュースサービス会社)、中華電信(インターネット、電話等をサービスする通信社で発行するインターネットニュース)等が集会について扱った。

中央通訊社は「韓国と中華民国が断交してから明日で満27年になる」として、「韓国インターネットメディアのメディアウォッチが今日台湾と韓国との外交関係回復の支持を宣言した」との記事を書き、行事を主催した筆者が次のように語ったと報じた。
「明日(8月24日)は韓国と台湾が断交した日であり外交的惨事だった。断交の方式も大失敗だったために大韓民国国民が確実に台湾との関係を回復せねばならないという問題意識持つようになり、こうした気持ちを持ち続けたことが今日の宣言行事を行うようになった動機」

また筆者が現場でインタビュー取材を受けた際の「香港、台湾そして韓国と日本が一丸となって自由の中心に立つことを望む」という言葉も中央通訊社は台湾国民にそのまま伝えてくれた。

さらに、中央通訊社は行事に講演者として参席した前MBC北京特派員の朴サンフが「我々は1992年我が大韓民国が人間的道理を無視し、放棄した両国間の外交関係を直ちに回復せねばならないことを伝えるために集まった」と発言した事実も報じた。

一方、ニューヨークに本社を置き、世界70余都市に支社を置く、華僑資本で設立された米国の中国語放送局NTD(NewTangDynastyTelevision、新唐人電視台)でも韓国台湾国交正常化行事について報じた。NTDは8月24日付で「韓国人が集まって台湾との国交回復を叫び、台湾を精一杯高めた」というタイトルで2分3秒映像報道を行った。NTDはこの日の集会の意味を香港自由化運動とも関連付けた。

NTDは「香港自由化運動が日増しに拡張している中で韓国は外交側面で危機を迎えていることを多くの韓国人が感じている」といい「同時に、韓国人も自由民主主義国家が連合して共産国家に共に抵抗していこうということだ」と解釈した。

NTDは中国共産党の目を気にせず‘検閲のないニュース(uncensored news)’を報道するメディアとして名高い。海外華僑資本によって米国で設立されたためNTDは中国内の人権問題と共産党の腐敗を正面から扱う。

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