第1次安倍内閣退陣の後、福田内閣、麻生内閣を経て、平成21年秋の衆議院選挙では民主党が政権を取り、自民党は下野した。翌平成22年2月5日、同志議員とともに、既に体調が回復しておられた安倍晋三議員を会長に据えて「創生『日本』」という派閥横断型のグループを発足させた。
私は副会長だったが、同じく副会長には古屋圭司議員、下村博文議員、菅義偉議員、世耕弘成議員、幹事長には衛藤晟一議員、副幹事長には新藤義孝議員、西村康稔議員、江藤拓議員、山谷えり子議員、有村治子議員、事務局長には加藤勝信議員と、後に第2次安倍内閣発足を実現する為に奔走した面々が名を連ねている。
自衛隊を「国防軍」と位置付けよ
同日付で発表した「基本理念」の一部を紹介する。
「われわれは、戦後ただの一度も憲法を改正できず、自分の国を自分で守ることも、誇りある歴史と伝統を学校教育を通じて次代の子供たちに伝えることも、公務員制度を含む行政改革等も、十分になしえてこなかった責任を強く自覚せざるを得ない。誇りある独立国家として復活するためには、このような『戦後レジーム』からの脱却を何としても成し遂げなければならない」
その後、平成24年4月27日に、自民党は前文から第102条まで全条文を整えた『日本国憲法改正草案』を発表した。平成17年にも全条文を提示した『新憲法草案』を作成したが、下野してから改めて2年半を費やし、50回を超える討議を積み重ねて作成した。私は、今でも平成24年版の改正草案の内容がベストだと考えている。特に「国防軍の保持」は、激しい議論の中で私が何度も発言を求めて拘こだわった点だった。
平成24年12月の衆議院選挙で自民党は政権復帰を果たし、第2次安倍内閣が発足した。平成25年2月1日の参議院本会議で、安倍総理は次のように答弁された。
「自由民主党の憲法改正草案においては、自衛隊を国防軍として位置付けることとしております。自衛隊は、国内では軍隊と呼ばれていませんが、国際法上は軍隊として扱われています。私たちは、このような矛盾を事態に合わせて解消することが必要と考えています」
国民と国家を守り抜く決意
憲法は、「国家の統治機構の設置根拠と運営の基本」と「国民の地位」を定めた「最高法規」だ。よって、憲法に反する内容の法律は作れない。長年の議員立法作業で直面したのは、常に憲法の壁だった。現行憲法制定時に較くらべると、人・モノ・情報が容易に国境を越える時代になり、インターネットの普及など技術革新が進み、日本の安全保障環境も激変した。
現代と次代に生きる国民の生命、領土、国家の主権と名誉を守り抜ける憲法の制定は急務だ。遺のこされた同志議員の力を結集して、必ず成し遂げる。(2022.07.19国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)