憲法に無知な「表現の不自由展・その後」と朝日新聞の病理|木佐芳男

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木佐芳男


慰安婦像は政治的な存在

『週刊文春デジタル』では、展示中止公表当日の8月3日から5日まで、慰安婦像をモチーフにした「平和の少女像」の展示に絞り、緊急アンケートを実施した。13歳から88歳まで、3日間で810人からの回答があった(5日配信)。

「『慰安婦』少女像の展示に賛成ですか? 反対ですか?」と読者に問い、回答者の74・9%が「反対」と答え、「賛成」の意見は16・2%に留まった。20代以下全体では「どちらともいえない」という意見が32%を占めた。

賛成意見としては、 「展覧会の趣旨は、芸術的にも社会的にもまったく問題がない。それを公権力が不都合だからと排除しようとしている。そのような恫喝と脅迫に屈してはならない」(女・51)

「表現の不自由を扱うという視点での展示なのだから、その俎上に載った作品を展示すること自体に問題があるとは思わない。税金での助成を受けているからこういう展示はダメ、というのならば、行政の意向と合わないような作品は展示や上映できなくなる。それこそ全体主義だろう。芸術・文化への公的助成とはそういう趣旨のものではない。(展示中止を求めた)河村市長のような意見は下の下で、勝手に日本人の心情を代表してくれるなと思う」(男・41)

一方、反対意見としては、こういう声があった。 「『慰安婦』の少女像は政治的色彩が濃厚で、純粋な芸術作品とは受け取りがたい。韓国では少女像については政治的な反日活動の材料に使われているので、このような展示会に公金を使うことは賛成できない」(男・70)

「この像は、あまりにも政治的に利用されすぎている」(男・60)

「自由の表現とプロパガンダは別物。どうしてもやりたいなら自分の金でやってほしい。公金を使ってやる展示ではない」(男・27)

慰安婦像は以前から極めて政治的な存在となっており、「アートだから虚心坦懐に鑑賞してほしい」と主催者側が主張しても、それを受け入れる日本国民はごく少数派であることが、改めて明らかになった。

慰安婦問題に根拠なし

慰安婦問題は、もともと日本にいる反日活動家が持ち出した。詐話師とまで呼ばれるようになった吉田清治の証言を朝日新聞が裏付け取材をすることもなく繰り返し報道し、韓国の国民感情を煽り、国連まで巻き込んだ。現在、韓国の「グループA」(ホワイト国)適用除外などで日韓関係は最悪の状態だが、確執のもとをただせば慰安婦問題があった。

朝日新聞は、いつのまにかそれを「女性の人権問題だ」と話をすり替えた。それなら、少なくとも戦時中の慰安婦で最も比率が高かった日本人女性に手を差し伸べるべきだが、そういう形跡はまったくない。

しかも現在に至るまで、朝日新聞はその英語版ウェブサイトで、慰安婦が強制的に性行為をさせられたかの印象を与える記述を改めていない。

慰安婦問題では、朝日新聞の社長が公式に多くの記事を「誤報」だったとして取り消したが、今回の展示中止問題をめぐる批判報道をみる限り、やはり何の反省もしていないことは明白だ。

慰安婦について、日本の政府や保守派が強制連行の事実などを否定しているだけではなく、アメリカ側でも戦争犯罪の証拠はなく、プロパガンダであることが証明されている。

決定的だったのが、アメリカ政府が約35億円と約7年の歳月をかけて作成し、2007年にまとめられた「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班」(IWG)によるアメリカ議会宛て最終報告書だった。

この調査をアメリカ政府に依頼したのは、在米中国系組織「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)だった。同連合会は反日活動を続けるなかで、日本を貶める材料を入手するためアメリカ政府に調査を依頼した。だが、調査の結果、「慰安婦問題で戦争犯罪の裏づけが発見できなかった」とされた。慰安婦をめぐる旧日本軍の犯罪性がなかったことは、すでに裏づけられている。

戦争の過去には慎重に

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