〈菅官房長官や柴山昌彦文部科学相も、芸術祭への助成の見直しを示唆する発言をした。共通するのは「公的施設を使い、公金を受け取るのであれば、行政の意に沿わぬ表現をするべきでない」という発想である。明らかな間違いだ〉
ファクスによる脅迫犯は、7日、逮捕された。脅迫は犯罪であり容認することはできないが、この展示中止を「暴力による表現の自由の封殺」と表面的にだけ捉えるのは、はたして正当だろうか。
誰も言及しない憲法12条
わが国の憲法12条には、「自由と権利の濫用」を禁じた規定がある。企画展中止騒動をめぐるいきさつを分析すると、朝日新聞など左派メディアや大村知事、批判的コメントをした識者らは、12条についてまったく言及していない。この条文は、法治国家として当然の自由や権利に「歯止め」をかける規定だ。
12条前段にまずこう書かれている。
〈この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない〉