アメリカ民主党政権に追随する道
そして、もうひとつのポイントが、ロシアは単にウクライナのNATO加盟を恐れているというよりも、ヤヌコビッチ政権がクーデターで倒れた後の政権自体が、完全にアメリカの傀儡であり、ロシアにとっての脅威であると見なしている、という点です。
ウクライナという国は、西側(NATO)とロシアの間に挟まれた緩衝地帯国家です。日本もかつて冷戦構造の最前線にあり、今は米中対立の最前線に位置しますが、緩衝地帯ではなく、完全にアメリカの前線基地です。日米安全保障条約があり、国中に米軍基地が置かれています。
一方、ウクライナはNATOにも属さず、米軍基地も持たない、大国に挟まれた文字通りの緩衝地帯国家です。常に両方に引っ張られる宿命にあります。
このような国の場合、両方とうまくやりながら微妙な中立を保たなければなりません。一方に露骨に付いてしまうと、もう一方から強烈な攻撃を受けるからです。
しかし、ウクライナはそれができませんでした。アメリカ民主党政権によって、ロシアに対する噛ませ犬として使われ続けてしまったのです。また、自らアメリカ民主党政権に自国の安全保障を委ねてしまいました。
2013年、EUはウクライナに対して経済や政治などで関係を強化する「連合協定」をオファーしました。多くのウクライナ人が、EU加盟に繋がるものと信じました。ヨーロッパ製品がウクライナに流れ込み、ロシアにも流れるはずでした。
ところが、その狙いはロシア経済に打撃を与え、国民の不満を高めてプーチンを退陣に追い込むことだと考えたプーチンは、ヤヌコビッチ大統領に最後通牒を突き付け、協定を拒否して、代わりにロシアからの150億ドルの支援を受け取るか、制裁を受けるかの選択を迫ります。
ヤヌコビッチが急遽、協定締結準備を停止すると、2014年、オバマ政権に支援されたクーデターが発生し、ヤヌコビッチを退陣に追い込みます。背後からロシアを敵視するグローバリストのジョージ・ソロスの支援があったとも噂されています。
すると、プーチンは対抗措置としてクリミアを併合しますが、オバマ政権は危険を感じるウクライナに軍備を提供することなく、ロシアに対する経済制裁を実施します。
これでウクライナとロシアの対立は決定的なものになってしまいますが、ウクライナはさらにアメリカ民主党政権に追随する道を選んで行きます。
ハンター・バイデンのスキャンダル
2014年には当時副大統領だったバイデンの息子のハンター・バイデンをウクライナ最大手の天然ガス会社であるブリスマの取締役に就任させ、高禄を食ませます。
そのブリスマが脱税などの不正疑惑でウクライナの検察に追及されると、バイデンは当時のポロシェンコ大統領を脅迫して、検事総長の解任を要求します。
この時の電話での会話がネット上に出回っていたので、私も聞きましたが、ポロシェンコは忠実にバイデンの命令に従って検事総長を解任したことを伝え、バイデンは上機嫌で応じていました。
もちろん、ポロシェンコはアメリカに守って欲しいから、必死に便宜を図っているわけですが、ウクライナはさらに西側への接近を希求し、2017年、「NATO加盟を優先事項にする」という法律を制定し、2019年には「NATOとEUへの加盟を努力義務とすること」を憲法に書き込むに至ります。
また、ウクライナには2005年以来、当時上院議員だったオバマが推進した合意に基づき、アメリカ国防省の管理下にある生物学研究所が最低15か所存在し、生物兵器が研究されていると報じられています。それらの研究所の周辺では度々感染症のアクトブレイクが発生し、多数の死者が出たと言われています。
さらに、ウクライナはトランプ攻撃であるロシアゲートに次いで、ヒラリー・クリントンが主導するウクライナゲートなるキャンペーンにも積極的に関与してしまいます。