「伊藤詩織」問題 金平茂紀と望月衣塑子の正体|山口敬之

「伊藤詩織」問題 金平茂紀と望月衣塑子の正体|山口敬之

「犯罪事実があった」とする伊藤詩織氏の主張は、検察と検察審査会によって、2度にわたって退けられた。日本の法制度上、刑事事件としては完全に終結し、伊藤氏の私を犯罪者にしようという目論見は失敗に終わったのである。ところが、私に一切取材依頼や問い合わせを行わないで、新聞やテレビで発信をしたり、記者会見で発言をしたりした人物が、少なくとも2名いる。そのうちのひとりが金平茂紀であり、もうひとりが望月衣塑子である――。(初出:月刊『Hanada』2018年1月号)


TBSによる不可解なテロップ映像

そして、金平が報道局長となって1年あまりが経った2006年7月21日、TBSは夕方のニュースで第二次世界大戦中の日本陸軍731部隊について特集を放送した。特集の内容は、終戦後に日本上陸を果たすであろうアメリカ軍に対して、細菌兵器で攻撃する計画が731部隊にあったというものであった。

しかし、物議を醸したのは内容ではなく、特集VTRの冒頭部分だった。なぜか企画と全く関係のない当時の安倍晋三官房長官のフリップが3秒間にわたって映し出され、そこに「ゲリラ活動!?」というテロップがかけられていたのである。

当時は、時の小泉首相が9月の自民党総裁任期満了をもって勇退することがわかっており、後任として「麻垣康三」、すなわち麻生太郎、谷垣禎一、福田康夫、そして安倍晋三が後継候補として取り沙汰されていた。なかでも、小泉の覚えめでたい安倍は最有力と見られていた。

このため、このVTRは、細菌兵器開発を行っていたとされる731部隊の特集の冒頭で無関係な安倍氏の映像を使うことにより、安倍氏に対する悪いイメージをすり込もうという、TBSによる悪質な印象操作として大きな問題となった。

放送事業を統括する総務省はすぐ調査に乗り出し、3週間後の8月11日、TBSに対して、放送法に基づく厳重注意の処分を下した。

その後、私は会社上層部の依頼を受け、安倍氏に「手打ち式」に出席するよう依頼した。TBS側は井上弘会長(現民放連会長)と石原俊爾社長と私、安倍氏側は本人と秘書1名が参加して、赤坂の料亭で会食をした。

そして会食が無難に終わって安倍氏側を送り出したあと、井上氏と石原氏は隣りのバーで一杯やることになった。この時、井上氏は私に驚くべきことを言った。

「あの安倍というのはダメだね。あんな右翼政治家じゃなくて、福田(康夫)さんとか二階(俊博)さんとか、もっとアジアの国とうまくやっていける政治家を称揚しなきゃ」

長くTBSトップに君臨する井上が、たったいま手打ちをしたばかりの安倍氏に対して嫌悪感をき出しにしたのである。その安倍氏に対する抑えきれない感情は、金平と同質のものに見えた。気まずい空気になったところに、政治部経験のある石原氏が割って入った。

「政治部の記者というのは、好むと好まざるにかかわらず、担当させられた政治家の取材をしなきゃならんのですよ」

この井上氏こそ、1年半前に金平を報道局長に抜擢した張本人だったのである。TBSが継続して反安倍のスタンスをとり続けているのは、こうした幹部社員の生理的嫌悪と無関係ではない。

「見るだけで反吐が出る安倍晋三」

そして時が流れて、この「731企画事件」の騒動も収まり、人々の記憶から忘れられつつあった頃、私はある政治部経験者から、驚くべき情報を入手した。

それは、問題の731特集が作られる少し前のことだったという。この政治部経験者は、あるカウンターの割烹で金平と食事をした。ほどなく731特集を制作し、のちに処分されることになるK記者も同席していた。そこで金平は、またも驚くべきことを口にしたと言う。

「このままいくと、見るだけで反吐が出る安倍晋三が総理大臣になっちゃうぞ」

この時の金平は、「怒髪天を衝く」ような勢いで、感情を抑えきれない常軌を逸した表情に見えたという。この描写は、1年前に報道局長室で向かい合った時に私が感じた金平の異常性と酷似していた。

「何とか阻止できないのかよ。あんなのが首相として毎日うちのニュースに出てくるのは、俺には耐えられないんだよ」

これに対してK記者も金平に同調し、金平ほど興奮した様子ではないものの、安倍氏について批判的な発言を繰り返した。金平はその後も、大学の後輩でもあるK記者に執拗に要求したという。
「なんでもいいから、できることはないのかよ」

そして、その数週間後の7月中旬。当時の報道局幹部の証言によれば、完成した「731部隊企画」を報道幹部がプレビュー(試写)した。不自然なドリー(カメラを回したまま移動する撮影技術)から始まるVTRの冒頭に安倍氏の顔が3秒近くも映され、そこに「ゲリラ活動?」という唐突感の否めないテロップが載せられていた。

テロップの意味は当時は謎とされていたが、いまになって考えれば、金平の命を受けて特集を制作したK記者による、安倍氏を貶める「ゲリラ活動」という意味だったとすれば、すっきりと辻褄が合う。

この冒頭シーンの撮影を担当したカメラマンは、カメラワークに対してはK記者から細かい指示が出て、何度か撮り直したと証言している。そして冒頭の映像は、毎回、安倍氏の顔を何秒か映してからドリーに入るよう求められたというのである。

プレビューでも、この異常な冒頭のシーンは問題点を指摘されることなく見逃され、この特集は夕方のニュースとしては異例の長さを割いて大きく扱われた。

関連する投稿


「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

「子供1人生んだら1000万円」は、とても安い投資だ!|和田政宗

チマチマした少子化対策では、我が国の人口は将来半減する。1子あたり1000万円給付といった思い切った多子化政策を実現し、最低でも8000万人台の人口規模を維持せよ!(サムネイルは首相官邸HPより)


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


山口敬之さんの連載『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった理由を説明します|花田紀凱

山口敬之さんの連載『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった理由を説明します|花田紀凱

「連絡がないままボツにした」「いくらでも直しますから、ボツはやめてくれ」……。『安倍暗殺の謎 第7回』を3月号に掲載しなかった件について、山口敬之さんは自らの番組その他であれこれ発言していますが、事実と異なる点が多々あるので、以下、経過を説明します。


日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日中首脳会談が約1年ぶりに開催された。岸田総理は日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置されたブイの即時撤去等を求めたが、中国は「ゼロ回答」であった。聞く耳を持たない中国とどう向き合っていけばいいのか。(サムネイルは首相官邸HPより)


望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

望月衣塑子記者の暴走と自壊するジャーナリズム|和田政宗

ジャニーズ事務所会見での「指名NGリスト」が騒ぎになっているが、そもそも記者会見とは何か、ジャーナリズムとは何か、それらをはき違えた人物たちにより我が国のジャーナリズムが破壊されることは、ジャーナリズム出身者としても許せない。(サムネイルはYouTubeより)


最新の投稿


憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

すでに衆院の憲法審査会では4党1会派の計5会派が、いま行うべき憲法改正の内容について一致している。現在いつでも具体的な条文作業に入れる状況であり、岸田総理が決断すれば一気に進む。


【今週のサンモニ】加藤登紀子が暴いた「サンモニ」のダブスタと不寛容|藤原かずえ

【今週のサンモニ】加藤登紀子が暴いた「サンモニ」のダブスタと不寛容|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】世界には「反移民で親LGBT」「愛国的環境保護派」が存在する  中井遼『ナショナリズムと政治意識』(光文社新書)

【読書亡羊】世界には「反移民で親LGBT」「愛国的環境保護派」が存在する  中井遼『ナショナリズムと政治意識』(光文社新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】少子化を促進させた『サンモニ』報道|藤原かずえ

【今週のサンモニ】少子化を促進させた『サンモニ』報道|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


6月10日施行の改正入管法で一体、何が変わるのか?|和田政宗

6月10日施行の改正入管法で一体、何が変わるのか?|和田政宗

不法滞在者や不法就労者をなくす私の取り組みに対し、SNSをはじめ様々な妨害があった――。だが、改正入管法施行の6月10日以降、誰が正しいことを言っているのか明らかになっていくであろう。(写真提供/時事)