「伊藤詩織」問題 金平茂紀と望月衣塑子の正体|山口敬之

「伊藤詩織」問題 金平茂紀と望月衣塑子の正体|山口敬之

「犯罪事実があった」とする伊藤詩織氏の主張は、検察と検察審査会によって、2度にわたって退けられた。日本の法制度上、刑事事件としては完全に終結し、伊藤氏の私を犯罪者にしようという目論見は失敗に終わったのである。ところが、私に一切取材依頼や問い合わせを行わないで、新聞やテレビで発信をしたり、記者会見で発言をしたりした人物が、少なくとも2名いる。そのうちのひとりが金平茂紀であり、もうひとりが望月衣塑子である――。(初出:月刊『Hanada』2018年1月号)


前川喜平と伊藤詩織と望月を守る会

ただ、問題は事実認識を誤っていることだけではない。望月の虚偽情報は往々にして、彼女が貶めたい人物の印象を悪化させるべく盛り付けて書かれているのだ。

そもそも私の父の職業が、この案件と何の関係があるというのだ。望月の狙いは、山口と山口家が、庶民の生活とはかけ離れた金満な生活を送っているという印象を読者に刷り込むという意図が明白である。実際に私が訪れた2軒の飲食店は、極めて安い庶民的な串焼き屋と、サラリーマンでも通える良心的な価格の寿司店である。

「普通の悪質な記者」であれば、他者を貶める記事を書くときには、特に事実確認を慎重にするものである。ガセ情報を裏どりもせず、全く事実と異なることを発信して相手を貶める望月は、記者ではなく詰めの甘い活動家である。そして望月の記事やインタビューは、根拠なく私と私の家族の名誉を著しく毀損する犯罪行為である。

私に会ったことも取材したこともない望月が、どうしてここまでして私を貶めるのか。望月の言動から透けて見えるのは、「反安倍」という明確な姿勢である。

「天下り問題で文部科学次官を更迭された前川喜平氏と、伊藤詩織氏と、望月を守る会」というのがある。そしてこの会員は、私と私の家族に対して、現在でも執拗に誹謗中傷、罵詈雑言のメールや書簡を送りつけてきている。

そして前川氏は「伊藤詩織氏は私よりも何倍も勇気がある」と持ち上げ、望月は前川氏と伊藤氏と相互に連絡を取り合っていることを認めている。

政権を貶める印象操作で協力

要するに、望月の記事は、「前川氏と伊藤氏と望月氏を守る会」の会員が私に送り付けてくる下品な罵詈雑言と同質の、報道の名に値しない誹謗中傷である。

しかし、ちょっと待ってほしい。文科省の天下りや加計学園の問題と伊藤氏の案件に、何か関係があるというのだろうか?

安倍政権に近い人間が優遇されて守られているというのであれば、伊藤氏の案件で私がどう守られたのか、指摘するのが筋だろう。私は粛々と当局の捜査に応じて検察官が不起訴とし、検察審査会が不起訴の判断を妥当と結論づけた。

それなのに伊藤氏は「上からの力を感じた」という表現をもって、何も具体的な問題点を示さず、「犯罪が揉み消された」と主張した。警察が上からの圧力に屈して犯罪を揉み消したのなら、大変なことだ。

そして警察のみならず、検察も検察審査会も、すべての組織が不適切な判断をしたとでもいうのだろうか。伊藤氏は「権力の介入」を主張する一方で、何が問題だったのか具体的な問題点すら明確にしていない。存在しない疑惑は指摘すらできないから、「ブラックボックス」という曖昧な表現をせざるを得ない。

加計学園を巡る問題でも、前川氏は安倍政権の違法性について一切具体的な指摘をしていない。そして、所詮何も違法性を指摘することができない前川氏と伊藤氏が連携して、政権を貶める印象操作で協力しているというのが、前述の不思議な会の実態である。そして、それを仲立ちしているのが望月なのである。

金平茂紀と望月衣塑子。記者を名乗る活動家が大手を振って跋扈するなか、視聴者・読者・国民に求められているのは、「エセ記者」 「エセ情報」を看破し葬り去る観察眼である。
(文中一部敬称略)

【初出:月刊『Hanada』2018年1月号】

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