徹底検証!習近平の「台湾侵攻」は本当に可能なのか?|澁谷司

徹底検証!習近平の「台湾侵攻」は本当に可能なのか?|澁谷司

今年(2022年)2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻した。それ以来、盛んに、台湾海峡危機とウクライナ危機が同列に語られている。本当に中国は「台湾侵攻」を決行するのか、徹底検証する。


中国の「台湾侵攻」は、即、「米中戦争」となるのは間違いない(ここでは「米中核戦争」については、両国が“共倒れ”になるので捨象する)。また、中国による「台湾海峡封鎖」も、やはり「米中戦争」となるだろう。なぜなら、基本的に、台湾は米国の「準州」と同じ “ステイタス”(地位)だからである。

1979年元旦、米国は、中国と国交を樹立した(1955年3月に発効した「米華相互防衛条約」は同年末まで有効)。そこで、米国は「台湾関係法」(1979年4月に成立したが、1月1日まで法の遡及を行っている)という“国内法”で「台湾人の生命、財産、基本的人権を守る」と謳った。

この法律は、米台両国間の条約や協定ではない。あくまでも米国の“国内法”である。それでいて、米国が一方的に「台湾人の生命、財産、基本的人権を守る」という。これは、事実上、台湾は米国の準州(グアムやサイパン〈北マリアナ諸島自治連邦区〉等)に相当すると考えられよう。この事実を知らずして、米台関係は語れない。

台湾に米軍を駐在

Getty logo

実は、1979年の米中国交樹立以降、米国は台湾に自国軍人を駐在させていなかった。ところが、2005年、中国は「反国家分裂法」を制定し、法律的に「台湾独立」を牽制した(元来、「中華民国体制からの独立」を「台湾独立」と称した)。そのためだろうが、同年、ブッシュ・ジュニア政権は台湾に制服組を派遣し、駐在させた。この件は、近年まで公表されていない。

また、米陸軍精鋭部隊「エクセレンス」は、数十年来、台湾陸軍と共に軍事訓練を行ってきた。中国軍の奇襲攻撃に備えるためである。この件に関しても、近年、ようやく公表された。

2018年6月、台北市の米国在台協会(AIT)の新庁舎が落成した。総工費は2億5500万ドル(約280億円)である。その建設には、台湾人は一切関わらず、秘密裡に完成した。新庁舎には、すでに在台米軍が駐屯しているが、最大4000人が駐留可能だと言われる。

米国が台湾を特別視する理由

関連する投稿


旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

イランとイスラエルは停戦合意をしたが、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」は今後も残り続けるのだろうか。元衆議院議員の長尾たかし氏は次のような見解を示している。「イランはホルムズ海峡の封鎖ができない」。なぜなのか。


ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパに君臨した屈指の名門当主が遂に声をあげた!もはや「ロシアの脱植民地化」が止まらない事態になりつつある。日本では報じられない「モスクワ植民地帝国」崩壊のシナリオ。


自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と日米安保条約に不満を漏らしたトランプ大統領。もし米国が「もう終わりだ」と日本に通告すれば、日米安保条約は通告から1年後に終了する……。日本よ、最悪の事態に備えよ!


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

「交渉のプロ」トランプの政治を“専門家”もメディアも全く理解できていない。トランプの「株価暴落」「カマラ・クラッシュ」予言が的中!狂人を装うトランプの真意とは? そして、カマラ・ハリスの本当の恐ろしさを誰も伝えていない。


最新の投稿


【今週のサンモニ】給付と減税なら給付の方が断然マシ|藤原かずえ

【今週のサンモニ】給付と減税なら給付の方が断然マシ|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】いつまでも進歩しない国家防衛思考|藤原かずえ

【今週のサンモニ】いつまでも進歩しない国家防衛思考|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


教科書に載らない歴史|なべやかん

教科書に載らない歴史|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!


旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

旧安倍派の元議員が語る、イランがホルムズ海峡を封鎖できない理由|小笠原理恵

イランとイスラエルは停戦合意をしたが、ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」は今後も残り続けるのだろうか。元衆議院議員の長尾たかし氏は次のような見解を示している。「イランはホルムズ海峡の封鎖ができない」。なぜなのか。


「医療の壁」を幸齢党がぶっ壊す!|和田秀樹

「医療の壁」を幸齢党がぶっ壊す!|和田秀樹

高齢者のインフルエンサーと呼ばれ、ベストセラーを次々と出してきた和田秀樹氏が「幸齢党」を立ち上げた。 なぜ、いま新党を立ち上げたのか。 「Hanadaプラス」限定の特別寄稿!