老朽化という悪質なプロパガンダ 「北海道百年記念塔」解体工事を中断せよ!|長尾たかし

老朽化という悪質なプロパガンダ 「北海道百年記念塔」解体工事を中断せよ!|長尾たかし

北海道開拓の象徴である百年記念塔がなぜ解体されるのか? その背景には「開拓」という言葉は屈辱的である、よって北海道の歴史から消し去りたいと思う勢力がいる――。


道民に知らせることなく解体工事を始めた

1月23日、札幌を訪れました。昼間はマイナス4度、夜はマイナス11度、凍てつくような寒さとはまさにこのこと。本当に寒かったです。

北海道観光で「北海道開拓のシンボル」である「百年記念塔」を訪れた人も多いのではないでしょうか。百年記念塔は、著しい困難のもとで北海道を築いてきた人びとの苦労に感謝し、この偉業を顕彰し慰霊の誠を捧げ、開拓者たちの思いと不屈の精神を受け継ぐため、未来への限りない発展を象徴するものとして、北海道命名百年に当たる1968年に工事が着工、70年に完成された塔です。

北海道札幌市厚別区にある野幌森林公園内に建てられており、総工費約5億円のうちの半分は、道民の浄財を集めて建立されたもの。つまり、百年記念塔は500万道民の共有財産であり、北海道開拓のために入植した国民全体の共有財産でもあるのです。

そんな大切な百年記念塔の解体作業が始められることを、北海道庁が道民に対し広報などで全く知らせることなく(これは道も認めています)、すでに解体工事が始まっているのです。

北海道開拓の象徴である百年記念塔がなぜ解体されるのか?

論点は3つあります。
第一には老朽化と危険性がその理由です。しかし、100年建っていられる設計の塔が50年間で老朽化するでしょうか? 危険性を強調するため「老朽化のイメージ」が無理矢理作られているのです。

皆さんご存知の通り、百年記念塔はサビついた茶色いイメージがあります。実はサビが出るのは、この建造物にとってなんら異常な事態ではなく、技術的に織り込まれた当時の最新技術なのです。米国のUSスチール社が開発した「コルテン鋼」が使われており、サビが出ることによって内部のサビを食い止めるという技術なのです。

さらに百年記念塔はコルテン鋼を用いた現存する世界最大のモニュメントとも言われており、まさに国指定重要文化財としての資質を持っているのです。建築関係者なら、常識的な知識のようですが、道は道民の無知を利用して、老朽化のプロパガンダに悪用しているのです。

平成30年9月、台風でステンレス材の水切り板が落下しました。この時、落下の破片を見せ、老朽化、危険性を印象づけようとしましたが、この鉄材は塔の内部への雨の侵入を防ぐため、後から取り付けられたものでした。異種金属の接面が腐食しやすい現象を軽視した後付け工事の不備が露呈したもので、塔本体が腐食老朽化していたものではないのです。

本来、道の責任が問われるべきこのいい加減な工事を、印象操作の材料に使う悪質極まりないプロパガンダなのです。

北海道開拓の歴史を抹殺したいという企て

第2、維持補修に膨大な費用がかかる、将来世代の負担になるという理由です。維持補修に必要な予算約28億円という金額が一人歩きしています。実は平成25年に行われた調査では、今後必要な年間の維持費は800万円、つまり50年間で4億円でした。ところが平成29年に今後50年間に6度の大規模修繕が必要だとして、突如20億円が計上されたのです。

その算定根拠を質したところ、いまだに根拠となる情報が開示されていないのです。繰り返しますが、百年記念塔は100年耐久を条件に設計されています。令和4年に専門家が行った調査でも「問題なし」と判断されているのです。

しかし、なぜか道の予算においては根拠のない数字ばかりが計上され、維持補修に膨大な費用がかかるというプロパガンダに利用されているのです。皆様、お馴染みの札幌テレビ塔は、百年記念塔よりも古く、70年も経過しているにもかかわらず、しっかりとメンテナンス維持管理されております。

百年記念塔とテレビ塔の違いは何なのか?

開拓のシンボルであるかないか、ここだけが違うのです。こうしてあらゆる手段を使い、百年記念塔を取り壊したい勢力がいるのです。

第三の論点は、解体運動の背景には北海道開拓の歴史を抹殺したいという企てがある点です。

百年記念塔のそばには北海道博物館があり、視察してきました。視察して実感したのは、北海道の文化行政は開拓者精神を否定する路線に立っているということです。なぜなら、昭和46年に開館した「北海道開拓記念館」という名称が、現在の「北海道博物館」に変更されたという経緯があるからです。

本来、北海道文化を語るには、縄文、アイヌ、開拓、この三要素が不可欠です。

北海道の開拓者たちは、自然の中で生き延びる知恵を持ったアイヌの人々に学び、アイヌの人々は、開拓者たちの近代的な生活を享受することで、「共生」してきたのです。

江戸幕府は開国時におけるロシア勢力の南下に備え、仙台藩ほか東北地方の6藩に蝦夷地の警備を命じ、仙台藩は白老に元陣屋を築き白老から国後・択捉島までの広大な範囲の防衛に、会津藩は樺太の防衛にあたり各地に置かれた出張陣屋が北方防衛のため機能していたのです。そしてアイヌの人々も協力していてくれたという歴史的資料が残っているのです。

しかし、北海道文化振興指針では、開拓の言葉が削除され、これにならって文化振興が進められているのです。展示品には、北海道の文化振興とは全く関係のない、労働運動の歴史や反戦プロパガンダとしか表現できない展示コーナーもありました。

過去には、「明治新政府は1869年に蝦夷地という呼び方を北海道に変え、北海道を日本の領土として本格的に開拓を始めた」などの記述があったのです。まるで北海道は明治以前日本の領土ではなかったということを伝えるための表現です。江戸幕府が出張陣屋をおき、北方防衛に臨んでいたという事実と全く異なっています。

先住民族であるアイヌが和人から虐げられ、苦痛を強いられ、今日に至っている。だから、アイヌの人々を保護しろ、そのための予算をつけろという動きが北海道を席巻しています。「開拓」という言葉は屈辱的である、よって北海道の歴史から消し去りたいと思う勢力がいるのです。

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