建設業”後継者不足”のダブルスタンダード
2025年7月13日の『サンデーモーニング』は、過去の番組の主張とは真逆の主張が展開されました。
もちろん番組の主張が過去と変わるのは、まったく問題ないことですが、過去に多くの関係者を悪魔化してきた『サンデーモーニング』が、その主張を棚に上げて真逆のことを言い出すのはあまりにも無責任で調子が良すぎると思います。
まずは、「企業倒産12年ぶりの多さ 建設業は”後継者不足”で」という話題です。

2025年上半期の企業倒産5003件 12年ぶりの多さ 資材高騰や後継者不足で建設業の倒産986件 | TBS NEWS DIG
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2031307ことし上半期の企業倒産が5000件を超え、12年ぶりの多さとなりました。帝国データバンクによりますと、ことし1月から6月までの全国の企業倒産は5003件で、3年連続で前の年を上回りました。上半期で5000件を超える…
膳場貴子氏:今年上半期の全国の倒産件数が5000件を超え、12年ぶりの水準に悪化したことがこの日わかりました。全体の6割を占めるのが、負債が5000万円未満の小規模事業者で、物価高や人手不足の影響を受けているといいます。業種別にみると、建設業がこの10年で最多の倒産件数となっていて資材の高騰や後継者不足などが要因とされています。(中略)
不動産が高騰する一方で、建設業は人手不足で倒産が多くなってきている。先行きどうなるのでしょうか。
ロバート・キャンベル氏:不動段業というか、特に建設業と聞くと、ゼネコンのイメージが必ずあると思うし、ゼネコンが今まで公共資金を使っていろんなことをやっていて、それにブレイキをかけようということが、ずっと20年くらい日本で続けているわけですけれど、実態を見ると、多くの実際の現場を支えているのは小さな一族経営の中小企業、土木事務所や工務店だ。
それを支えているのは何かと考えると、日本の都市部では耐震基準ができる前のマンション、集合住宅はいま改修ラッシュになっている。それにもかかわらず人手はいない。
私は東京の住宅地に住んでいるが、周りの家の建築を見ていると、解体現場はほとんどアフリカの人が担っている。解体が終わって聖地が終わって次に別の会社が担うが、その構図そのものが如実に日本の人手不足を見ているので、まさに安全保障の問題として、特に中小企業に対する国の、その企業に入るためのハードル、それを稼げるものであるとか、安全であるとかということをテコ入れしていかなければならない。
建設業界は依然とかなり違う様子になってきている。災害が起きた時にも非常に重要な基盤産業なので選挙の争点になればいいなと思う。
膳場貴子氏:そうですね。安全を担う大事な産業ですからね。
建設業界は、過去のゼネコン汚職事件などを通じて『サンデーモーニング』から、公共事業に絡む巨悪として目の敵にされてきた業界です。
しかしながら、建設会社の通常業務では、単価積算基準に基づく適正な価格で事業を受注しており、批判には当たりません。
日本のゼネコン(general contractor)は、建設プロジェクトの大規模リスクに立ち向かい、最後まで責任をもつ総合請負業者です。日本の建設業は、ゼネコンが実際の施工を行う中小の協力業者(下請け業者)を適材適所に配置してリスク対応する施工管理システムによって成立してきました。
その契約形態も地道に単価を積み上げる総合請負契約が主流であり、けっしてボロ儲けしてきたわけではありません。それが21世紀に入ると、マスメディアからあたかも悪徳業界であるかのような大バッシングを受けると同時に、3K(きつい・汚い・危険)というレッテルが貼られました。
当時、業界を支えていた高齢の作業員が引退したこともあり、就業者数も右肩下がりで減少して現在に至っています。