河野太郎氏が防衛大臣時代にイージスアショアを破棄したことで、北朝鮮の核ミサイルの攻撃を迎撃ミサイルで防ぐことを不能にしたことは周知のとおりだ。原発への核ミサイル攻撃の脅しは、原発反対派の常套句である。河野大臣の頭の中は反原発派と全く同一。田中俊一原子力規制委員長(当時)でさえ、核ミサイルはピンポイントの原発を狙うより大都市の上空で爆発させた方がよほど被害が大きいと国会で野党の質問に回答している。イージスアショアを防衛大臣として独断で潰しておいて、「おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい!」と恫喝しているのは、まさに反原発大臣以外の何物でもない。
「使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか、おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい、テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発。」という恫喝の言葉を、そのまま河野氏にお返ししたい。こう言って。
「イージスアショアの迎撃ミサイル配備をやめさせたのは、おめえだ。北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい。敵基地攻撃を昭和の発想と片付けたけど、迎撃できなくしたから必要なんだろ。どうすんだい」と。
米国のロッキード・マーティン社のテスト施設内にあるSPY-1レーダを備えたイージスアショアの上部構造(本体は地下)。ドアの大きさから大きな施設であることが窺える。
第二の河野談話
原子力発電所からのエネルギー供給は気象にも左右されない、最も安定したエネルギー源である。敵基地無力化とイージスアショアの迎撃ミサイルの配備が必須である。
各原発には特定重大事故対処施設が地下のバンカーに設置され、航空機テロに対して備えをしている。公益財団法人国家基本問題研究所ではさらに洋上風車やワイヤーフェンスによる航空機テロ、ミサイル攻撃対策を提案している。ミサイルがワイヤーフェンスにぶつかれば、そこで爆発するか起爆装置が破壊されるため原発本体への直撃は防止できる。
河野氏は2017年2月に東京で開催された「日米原子力協定と日本のプルトニウム政策国際会議」に反原発団体や立憲民主党の議員らと共に出席している。会議では「日米原子力協定自動延長阻止と六ヶ所再処理工場運転開始阻止、それによる原発運転阻止をめざす」との大会宣言が出された。
2017年9月には訪米団が派遣され、日本のプルトニウム蓄積に国際的懸念があると訴えた。それをNHKが同年10月30日の「クローズアップ現代+」で「〝プルトニウム大国〟日本~世界で広がる懸念~」と題して報道。米国の有力者の大きな声を利用して日本政府に圧力をかけることを「ワシントン拡声器」と呼ぶが、NHKの報道は当時の安倍政権に圧力をかけたとの見方が強い。
問題は、当時外相だった河野氏が、何ら指摘されてもいないのに、国際原子力機関(IAEA)に対して、「日本はプルトニウムを減らす」と宣言してしまったことにある。これは、河野氏の父親・河野洋平氏が官房長官時代の1993年に戦時中の慰安婦問題で出して禍根を残した「河野談話」に匹敵する「第二の河野談話」と言わざるを得ない。
再処理施設を運転させないと、使用済み燃料の減容は不可能になり、使用済み燃料をキャスクという金属容器に入れてそのまま埋設する「直接処分」となって、埋める場所が4倍必要になる。だから再処理工場の運転は必須なのだ。
直接処分では、10万年の埋設処分が必要で、万一キャスクが損傷した場合は、回収を要求する動きもある。一方、再処理施設で、高レベル廃棄物を分離してガラスに溶かしてステンレス容器に流し込んで固化したガラス固化体は、数千年の保管に短縮され、直接処分の4分の1の容積の処分場で済む。繰り返すが、国土が狭い日本に再処理施設は必須なのだ。