青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

青山繁晴さんの推薦人確保、あと「もう一息」だった|和田政宗

8月23日、青山繁晴さんは総裁選に向けた記者会見を行った。最初に立候補を表明した小林鷹之さんに次ぐ2番目の表明だったが、想定外のことが起きた。NHKなど主要メディアのいくつかが、立候補表明者として青山さんを扱わなかったのである――。(サムネイルは「青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会」より)


大きな痛手となったのはNHKの恣意的な報道

自民党総裁選が昨日12日に告示された。立候補者は過去最多の9人。26日(木)が党員投票の締め切り、27日(金)に国会議員投票と開票が行われ、新総裁が誕生する。

私が選対事務局長を務めた青山繁晴参院議員は残念ながら立候補に必要な20人の推薦人に届かなかった。あと5人だった。ご支援いただいた全ての方にお詫び申し上げる。

青山さんは昨年末から総裁選に立候補したいと自身の著書やネット番組で述べており、6月の通常国会会期末以降のタイミングでいつ記者会見するか時期を計っていた。早期に記者会見をしなかったのは、岸田文雄総裁が憲法改正に意欲を示し続けたことから、そのような状況で総裁選に向けた記者会見を開くというのは良くないと判断し、憲法改正実現を支えようという意志からであった。

しかし、8月14日に突如、岸田総裁が次期総裁選に立候補しないと表明し、一気に状況が変わった。これまで立候補の意欲を示していなかった方々が続々と、立候補したいとの意志を表明したのである。これによって推薦人の状況も変わった。旧派閥、地域の繋がりなどによって、青山さんを支援したいと述べていた議員が次々に他陣営に流れてしまったのである。

青山さんが記者会見で「推薦人が和田さん1人になってしまった時期もあった」と述べたが、8月中盤のその状況から青山さんと2人で各議員へ支援のお願いに回り、支援の意思を示した方が20人近くになったことから8月23日に記者会見を行った。

しかし、想定外のことが起きた。NHKなど主要メディアのいくつかが、立候補表明者として青山さんを扱わなかったのである。最初に立候補を表明したのは小林鷹之さんであったが、2番目に表明した青山さんが飛ばされ、青山さんの翌日に表明した石破茂さんを2番目の立候補表明者として扱ったのである。

しかも、NHKは問い合わせた視聴者に対し、「青山氏は推薦人が集まらないので立候補表明者として扱わない」と答えるなど、恣意的に青山さんを総裁選の報道から外していることが判明したのである。後にこの扱いは我々の陣営からの問い合わせを受け是正されるが、「メディアは青山さんは推薦人が集まらないと見ている」という話が広がり大きな痛手となった。

これにより他の立候補予定者の推薦人になる意志を固めてしまった人も出た。さらに、当初推薦人について前向きな意思を示してくれていた議員も、後援者等と相談した結果、「今回は誰の推薦人にもならないことに決めた」となった方々もいた。自身が関わっていなくても旧派閥の政治資金不記載問題等の反省から今回は表で動くことを控えたいという方々である。

20人の推薦人を最終的に12日の告示日に提出するため、青山さんと私で提出時刻ぎりぎりまでお願いを続けた。12日の朝に推薦書に署名してくれた議員もいた。しかし、あと5人の推薦人を得ることができなかった。改めてご支援いただいた全ての方にお詫び申し上げる。

総裁選での議論を聞いて投票する

(写真提供/産経新聞社)

しかしながら、青山さんが立候補の記者会見を行ったことで、総裁選に大きな作用を及ぼすことができた。それは、「減税・消費減税」政策についてである。青山さんが「減税・消費減税」を公約に掲げたことで、メディアは立候補表明者に減税への考えを必ず質問するようになった。総裁選においても当然、主要テーマとすべきである。

さらに、総裁選立候補者が過去最多の9人となったことは、派閥解消が大きいと言える。派閥の縛りがあれば、これだけの立候補者は生まれない。今年、青山さんと一緒に立ち上げた「政治(まつりごと)変革会議」で、旧態依然の派閥解消を強く訴え、実現を果たしたことが9人の立候補者につながった。

なお、9人という多数の立候補者となったことにより、演説会や記者会見を見ていて、答える順番が後になっている方は不利であると感じた。立候補順は抽選によって決定されたが、1番目を引き当てた高市早苗さんや4番目の小泉進次郎さんまでは非常に運が強いのではないかと思う。

青山繁晴さんが立候補できなかったことにより、私はどう行動するのかとの質問をいただく。私は青山さんとともに最後までやり抜く考えだったので、どの陣営にも入ることはしない。自らの政治信念に従って、総裁選での議論を聞いて投票する。

青山さんが前面に掲げた減税や党改革についての考えがどうか、そして何よりも皇位の安定継承のため、旧宮家の男系男子の方々の皇籍復帰について実行するかどうかで判断する。さらに拉致問題の解決、憲法改正、国家国民のために速やかに実行しなくてはならないことを実行する意志があるのかどうか。

今回の総裁選は、国家国民のための政治をしっかりと実行する自民党を皆様にお示しし、いま一度選択していただくための重要な闘いである。総裁選後、速やかに衆院解散総選挙を実施すると述べる候補者がおり、その流れは止まらないであろう。

新総裁、新総理のもと国民に信を問う。我が国の将来がかかる極めて重要な転換点になる。総裁選において充実した政策を皆様に示す。そして必ず実現していく。我が国の繁栄のため、自民党を必ず再生させる。

関連する投稿


「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

衆院選で与党が過半数を割り込んだことによって、常任委員長ポストは、衆院選前の「与党15、野党2」から「与党10、野党7」と大きく変化した――。このような厳しい状況のなか、自民党はいま何をすべきなのか。(写真提供/産経新聞社)


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

石破新総裁がなぜ党員票で強かったのか|和田政宗

9月27日、自民党新総裁に石破茂元幹事長が選出された。決選投票で高市早苗氏はなぜ逆転されたのか。小泉進次郎氏はなぜ党員票で「惨敗」したのか。石破新総裁〝誕生〟の舞台裏から、今後の展望までを記す。


最新の投稿


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!