放射能問題は日本の弱点とみる韓国
韓国のVANKが在韓日本大使館建設予定地に貼り付けた「放射線防護服の聖火ランナー」
韓国側の検査手法については無知による所業だが、「原発事故と福島」という題材を持ち出して日本を叩くという韓国側の行為は「誤解や無知」ではなく、「悪質かつ意図的」に行われてきた。
振り返ると、2019年9月に文在寅大統領の与党「共に民主党」は福島県から同心円状に放射能汚染が広がる「放射能汚染地図」を公表した。また翌年にはVANKという反日団体がソウルの在韓日本大使館建設予定地に「放射線防護服の聖火ランナー」のポスターを張り付けている。
オリンピックが開催される前から東京オリンピックに関しては、韓国発の不愉快な出来事が繰り返されてきたが、その頂点ともいうべき事件が、今回の給食センター設置といわゆる「放射能フリーのお弁当」であった。
FNNソウル支局長の渡邊康弘氏によれば、韓国では「日本の放射能問題を世界に知らせる効果がある」と分析。「放射能問題は日本の弱点」との観点から、韓国は官民挙げて日本を責め立てる際にこの問題を利用してきた。
中国の作家魯迅の言葉で「水に落ちた犬は叩け」ということわざがある。凶暴な犬が水に落ちたなら手を緩めずに追撃せよという意味だ。韓国にとって日本が凶暴な犬であれば、原発事故の被災地である福島県は「日本の弱み」と彼の国は見たのだろう。
またメダリストに贈られるブーケに福島県産のトルコギキョウとナルコランなど東日本大震災の被災地で育てられた花が使用されたことに対して、韓国メディアが、「メダルを取れば福島産花束。放射能汚染不安感」「放射能汚染の危険がある」と書き立てた。
このような韓国側の官民を挙げた日本蔑視は、これまでも竹島、慰安婦、応募工、日章旗など様々な政治課題で行われている。そのテーマの一つとして「原発事故」が含まれたのである。
与野党を超えて対応を求める
韓国による一連の行為について、自民党では参議院議員の佐藤正久議員(福島市出身)が7月20日の外交部会において、オリパラ選手村での韓国関係者による福島産食材の忌避と独自に調理した弁当の持ち込み可否について政府には毅然とした対応を強く求めている。
加藤勝信官房長官は7月29日の記者会見で「東京大会における飲食提供については復興五輪の趣旨にのっとり、被災地の食材の活用などを通じて復興五輪の推進を図っている」と述べ、風評被害の払拭に努める考えを示した。
その後、日本政府が7月下旬に韓国外務省に対し、福島産食材は安全が確保されており誤解を招くとして行動の改善を選手団に促すよう求めたことを政府関係者が8月2日に明らかにした。また、メダリストに渡すブーケに福島産の花を使っていることへの韓国メディアの批判的な報道にも懸念を伝えたという。
また自民党福島県議員会の渡辺義信幹事長は8月3日に平沢勝栄復興大臣に対して、「韓国側の一連の行為は福島県民のこれまでの努力を蔑ろにし、虚偽の情報によって風評被害を助長させる」ものとして、毅然たる態度で風評払拭に臨むよう要望している。
その後復興庁は8月5日福島県産食材のおいしさと安全性を国内外に発信するため、東京五輪選手村の2カ所の食堂にPRポスターを掲示した。
今回の韓国問題については野党側からも怒りの声があがり、与野党を超えて日本政府に対して毅然とした対応を求めていることから、大変注目度が高い政治課題であった。