内堀雅雄福島県知事の間違い
しかし、大変残念ながら被害者であり当事者である“福島県”から、韓国に対する抗議の声は最後まで出ることはなかった。
内堀雅雄福島県知事は7月19日の記者会見で「事実を把握してもらっていないと改めて実感した」「誤解、偏見をただし正しい情報を認識してもらうのが風評払拭の本質」と記者の質問に話している。
内堀知事は韓国が「事実を把握せず、誤解している」と認識しているが、それは違う。韓国が事実を把握している論拠として、これまで在京大使館への情報提供の強化として、駐日大使館職員向けの発電所視察が度々行われてきた。平成28年には李俊揆駐日韓国大使が東京電力福島第一原発を視察している。
韓国大使館だけではなく韓国メディアも福島県内の取材を行っている。例として平成31年には福島県の海産魚介類の安全性を確認するため小名浜港を取材している。
韓国は「放射能問題は日本の弱点」との観点から、官民挙げて日本叩きに利用している。対日批判の道具として福島県を利用する韓国に対して「正しい情報」を発信するだけでは、相手の行為を止めることはできない。
今回の東京オリンピックにおける韓国側の一連の行為について、福島県として対応したのはこの記者会見で記者からの質問に答えたのみであった。オリンピック期間中に福島県から国やオリンピック組織委員会に対して、韓国対策のための要望や協議をしたということは一切確認できていない。
内堀知事は福島県を代表して「韓国の行為に強く抗議する」という声明を出すべきであった。
「暗黙の了解」
今回の一連の事件については、韓国側の横暴を非難するだけではなく、原発事故の風評対策として福島県の姿勢や認識が問われた事件でもあった。
風評被害をまき散らす風評加害者に抗議をしない福島県の姿勢については今日始まったことではない。私は令和2年2月福島県議会にて当時騒ぎを読んだ「日本放射能汚染地図」「放射線防護服の聖火ランナー」を取り上げ、内堀知事の考えを質問した。その時の答弁では内堀知事は「非常に残念」と発言するが「国と連携しながら情報発信に取り組む」として、県としての抗議の意思や県民の強い怒りを代弁することはなかった。
韓国や中国など諸外国が本県の風評被害を拡散するプロパガンダを行っても、外交問題は国の専権事項であるため、国が取り組むべきというのが福島県の認識である。
また東京電力福島第一原発における事故は国と東電の責任であり、被害を受けた福島県側が主体的に行動するべきではないという「暗黙の了解」がある。