米中の政治混乱は日本の試練|矢板明夫

米中の政治混乱は日本の試練|矢板明夫

バイデンはトランプと比べ融和的な対中政策をとる可能性が高く、習政権は全力を挙げて米国との関係修復を試みる。しかし、トランプという強い「外敵」が消えることが、中国共産党内の権力闘争を激化させる可能性も指摘されている。党内で孤立感を強めた習近平。一歩間違えば、文化大革命のような大混乱を引き起こす可能性も!


党内で孤立感を強めた習氏だが、自らの元部下をメディアや警察などの重要ポストに抜擢(ばってき)して対抗する姿勢を強めている。米国と異なり、中国の権力再編は水面下で静かに進められるが、一歩間違えば、文化大革命のような大混乱を引き起こす可能性もある。

米中二大国が同時に政治的に不安定な時期に入ることは日本にとって大きな試練だ。米国の混乱で日米安保が機能しないことを期待して、中国軍の強硬派が尖閣諸島への侵攻などの暴挙に出る可能性もある。日本はあらゆる事態を想定してしっかりと備えるべきだ。(2020.11.09国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)

著者略歴

矢板明夫

https://hanada-plus.jp/articles/349

産経新聞台北支局長。1972年、中国・天津市生まれ。15歳の時に残留孤児2世として日本に引き揚げ。97年、慶應義塾大学文学部卒業。同年、松下政経塾に入塾(第18期)、アジア外交が研究テーマ。その後、中国社会科学院日本研究所特別研究員、南開大学非常勤講師を歴任。2002年、中国社会科学院大学院博士課程修了後、産経新聞社に入社。さいたま総局記者などを経て、07年から中国総局記者。20年から現職。著書に『習近平なぜ暴走するのか』(文春文庫)。最新刊は『中国人民解放軍2050年の野望』(ワニブックスPLUS新書)。

国家基本問題研究所「今週の直言」
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