第二の曺国事件
さらに尹美香は、京幾道安城市に慰安婦ハルモニのための休息所(平和と癒しが出会う家)を時価の倍近い値段で購入している。だがその家には、慰安婦ハルモニは一人も暮らしていなかった。なぜか、尹美香の父親が管理人という名目で住んでいただけ。
近所の人によると、年に数度、慰安婦ハルモニの姿を見かけたことがあるが、普段は誰もいないという。
一体、誰のための「癒しの家」なのか? 結局、この「癒しの家」も数年前に売却されたが、この売買に使われた銀行口座も尹美香のものだ。
韓国では「第二の曺国事件」と呼ぶマスコミもあるが、弱い立場で高齢の慰安婦を利用して不正蓄財したのだから、国以上に悪質だ。
この金銭問題は尹美香個人だけの話ではない。彼女が理事長を務めていた正義連は、自分たちを「国際連帯事業として各国の団体を支援している」と説明している。
ところが韓国の週刊誌『時事ジャーナル』の取材によると、正義連は2018年にオランダの人権団体に1億2200万ウォンを送金したというが、人権団体に確認したところ、受け取ったのは1998万ウォン(1万4998ユーロ)だけだと回答してきた。差額の1億ウォンはどこへ?
2014年にも、ベトナムでの井戸掘削費用として集めた約1700ウォンのうち、実際にベトナムに届いたのは約1200万ウォンに過ぎず、残りの約500万ウォンが行方不明である。
ナイジェリアの人権団体に対しても333万ウォンを送金したと説明しているが、相手は122万ウォン(100ドル)しか受け取っていない。
正義連だけではなく、他の慰安婦団体の実態や疑惑が連日のように暴露されている。6月6日には、ある慰安婦団体所長がソウル市内で急死した。当局からの追及逃れの自殺説も囁かれている。
疑惑の代表的なものが、ソウル郊外にある「ナヌムの家」運営をめぐる疑惑だ。日本でも知られている「ナヌムの家」は1992年、仏教団体によって作られた。現在でも生存者ハルモニ18人のうち、6名の慰安婦ハルモニが住んでいる。
韓国テレビYTNによると、「ナヌムの家」には民間人(企業)からの寄付や政府の国庫支援金などで合計70億ウォン以上の資産がある。ところが、慰安婦ハルモニの生活実態は非常に貧しく、表現は悪いが「飼い殺し」の生活だったという。
慰安婦がさらし者に
2019年には25億ウォンの寄付があったにもかかわらず、慰安婦に対して使われた金額はわずか6400万ウォンばかりだった。海外からの訪問客が残した寄付金なども、一切ハルモニの手には渡っていない。金は理事会がすべて管理しているのだ。
金の面だけではない。
ハルモニのなかには、いまでも実名や顔を出したくない人がいる。しかし数年前、一人のハルモニが病に臥せっている時、ある韓国人政治家の娘が訪問したのだが、その際、無理やり病床で記念写真を撮らされたという。戦前は生活のために慰安婦になったハルモニが、今度は生活のためにさらし者になったようなものだ。
慰安婦ハルモニたちは不当に利用され、怒りと不信感を持っている。金儲けのために利用された悔しさと屈辱……92歳の老婆が恥を忍んで全世界に訴えた理由はここにある。
慰安婦ハルモニを利用して不正蓄財した罪は重い。韓国の人々の間では、「慰安婦は彼らが金儲けのために作り出したのではないか?」と疑問に思う人すら多くなっている。
不正事実を知った善良な市民たちが、「寄付金を返せ!」という裁判を起こした。23人の大学生たちが「慰安婦ハルモニのための寄付金であり、営利目的の養老院建設のための寄付ではない」として提訴。詐欺罪で検察に告発もしている。