なぜ韓国人は海外に慰安婦像を建てるのか
──国内的には、2014年の朝日新聞の吉田清治証言報道の取り消しでひとまず落ち着いた感がありますが、時を同じくして、海外の各地に慰安婦像が建設され始めています。
山岡 なぜ韓国人は、第三国に慰安婦像を建てるのか。日本人には理解しがたい心理ですが、在米韓国人の人たちは、周囲の人をどんどん巻き込み、いかに自分たちが被害者であるか、またいかに日本が加害者であるかを周囲に知らしめることで、自分たちの主張の正当性を担保しようとしているのです。いわば告げ口文化というのでしょうか。
ケント まさに「恨」の思想。常に誰かを批判していないと気が済まない。それが生き甲斐になるだけでなく、自身の正当な生き方であるというふうになっていくんです。事実であるかどうかは重要ではない。これが韓国の人たちの考え方です。なぜ日本人は35年間も朝鮮半島を統治していたのに、こういう韓国人の特性が理解できないのですか。
山岡 戦後植えつけられた罪悪感で、学んだことを水に流してしまったのでしょうか……。
ケント たしかに日本、特に政府の対応に問題はありました。慰安婦問題のそもそもの元凶は、日本政府がきちんと精査してから発表する手段を踏まず、いきなり謝罪したことにあります。日本の発想では、「ごめん」の一言で物事の半分くらいは終わってしまう。謝れば水に流してくれると思ったのでしょう。しかし、韓国の文化はそうではない。というか、日本以外の国はそうではない。たとえば、日本政府が元慰安婦に対して支払った「見舞金」についても、外国人には理解不能です。
山岡 でしょうね。「慰安婦は性奴隷ではないし、強制連行もしていない」と言いながら、謝罪してお金まで払っている。海外の感覚で見れば、相当悪いことをしたに違いないと考えるのが普通です。「やってもいないことに謝罪して、お金払うなんて殊勝ですね」なんて話にはなりません。
日本を悪魔化する手法
ケント ニュージャージー州フォートリーに慰安婦被害者を追悼する慰安婦碑が建てられるというので、これを阻止すべく、私が市長宛に英語で文書を送りました。そのなかでも見舞金について説明しました。「お金は払ったが、これは見舞金であって賠償金ではない。日本特有のやり方であって、日本軍の強制連行は政府も誰も認めていません」と。
これで少し碑文の表現は柔らかくなったかもしれませんが、地元の日本人の反対の訴えは通らず、昨年末に設置決議が通り、今年5月に除幕式が行なわれました。
山岡 地元では、日本人のお母さんたちが中止要請を行っていたのですが、フォートリー市長は「実際問題、選挙民の多くに韓国人がいるから、その声を無視することはできない」と言っていました。
ケント 韓国人が告げ口文化からこういう運動に勤しんでいる一方、中国人は違います。慰安婦像建設運動にかかわっている抗日連合会は、中国共産党のプロパガンダ組織です。在米韓国人に頼らず、抗日連合会や他の中国人グループが前面に出たのが、サンフランシスコの慰安婦像建設のケースでした。アメリカで抗日連合会などの中華系団体は在米韓国人に近づき、彼らの精神構造を利用して慰安婦像を建て、日米の信頼を崩して離間に結び付けようとしている。これは、戦時プロパガンダと全く同じ手法です。
山岡 中国人は韓国人を信頼していないし、韓国人だけに任せておくと失敗するケースも出てくる。だから中国人団体が出張ってくる。ついには「慰安婦40万人説」を持ち出すようになりました。40万人の慰安婦のうち韓国人が20万人、残りの20万人は中国人だというわけです。アメリカで、アジア系移民の政治活動に関する実地調査を行いました。その結果、分かったのは、日系移民も、中国系も、韓国系も、はじめのうちは「同じアジア系移民として仲良くやりましょう」と言って、一定の連帯感を持っているように装う。しかし、地域住民における中韓系の合計割合が一定を超えると、一気に掌を返すのです。よかれと思って「みんなで一緒に考えましょう。和解はもうすぐ」なんて甘い幻想を抱いていると、手ひどい目に遭います。
ケント 実は私のもとに、カナダで起きている恐るべき実態が寄せられました。トロントに住む中韓系がしきりに反日運動を行い、州議会の中国系議員に働きかけ、慰安婦像を建てようとしているというのです。地元の方が手紙で知らせてくれたのですが、それにはこう書いてあります。
「日本政府のだらしなさに、海外の日系人は絶望的な思いです」
「今の状態を作り出したのは朝日新聞。朝日のおかげで海外に住む邦人は大迷惑です」
「ケントさん、中韓の陰謀阻止キャンペーンを行ってください」
山岡 悲痛な叫びですね。
山岡鉄秀氏