二転三転のトランプ発言
2026年3月15日の『サンデーモーニング』のトップニュースは、目まぐるしく情勢に変化があるイラン攻撃の話題でした。
イラン攻撃について、トランプ大統領は「まもなく終結する」と言ったかと思えば、2日後には「撤退する訳にはいかない」と述べるなど、発言が二転三転しています。その背景には、トランプ氏の誤算があるようです。…
アナウンサー:9日、それまで「期限は設けない」としていたイランでの戦闘を、「まもなく終わる」としたトランプ大統領。ところが、水曜日には、今度は作戦を続けると。そして13日には再び、「終わるまで、長くかからない」と主張しています。
二転三転するトランプ大統領の発言。その背景には、マーケットの反応を意識し、原油価格を抑えたい、トランプ氏の思惑がありました。
アメリカでは、イラン攻撃直後からガソリン価格が急騰。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が、事実上イランに封鎖された影響が直撃。9日には、原油先物価格が2月の2倍近い、1バレル=120ドルに迫っていました。
ただ、トランプ氏の「まもなく終わる」という発言以降、原油価格は40ドル以上急落。原油高騰の火消しに走ったのです。ところが…
イラン革命防衛隊報道官(VTR):米国とイスラエル、その支援者の石油は、1リットルたりともホルムズ海峡を通過させない。原油価格1バレル=200ドルを超えることを覚悟しろ。
アナウンサー:実際、ホルムズ海峡周辺では、事態がめまぐるしく動いていました。(中略)
トランプ氏は安全をアピールしますが、再びWTI原油先物価格(13日)は100ドル目前まで上昇しています。こうした中、12日には、殺害された最高指導者ハメネイ師の次男で、後継者に選出されたモジタバ師が初めて声明を出し、「徹底抗戦」の構えを見せたのです。(中略)
トランプ氏が“ディール相手”とも考えているイランのモジタバ師。ところが、そのモジタバ師を新たな標的にしようとしているのが…イスラエルのネタニヤフ首相は、モジタバ師が殺害の対象であることを示したのです。
ここにきて、見え始めたアメリカとイスラエルの温度差。戦闘の長期化とともに、さらなる影響の拡大が懸念されています。
当然想定していなければならない原油価格をめぐって二転三転する一連のトランプ氏の発言からわかることは、今回の戦争においては支配戦略が欠如しており、甘い想定と現実との乖離を行き当たりばったりの発言で誤魔化そうとしていることです。
戦争の当事者である米国大統領がイランでの戦闘を「まもなく終わる」と言及することは、「まもなく所期の目的を達成して戦闘をやめる」と考えるのが素直な解釈です。
ところが、「早々と撤収する訳にはいかない。任務を完遂しなければならない。勝って、勝って、勝ちまくる!」というその後の発言は、現在の情勢が想定とは異なり、目的を達成できなかったので、イランを徹底的に打撃する中長期戦の遂行を宣言(コミットメント)したことに他なりません。
もちろん莫大なコストが必要な中長期戦を展開するということは、それに見合ったベネフィットを勝ち取ることを目標とするものであり、それは講和や停戦ではなく、降伏であると考えるのが蓋然的です。

