じつは、ナノ銀の除染効果についてJAEAに検証試験を指示したのは下村氏ではなく、民主党政権下で文科副大臣を務めていた森氏だった。試験結果の報告を森氏が受け取る前に政権が再び自民党に交替し、森氏が指示した試験の結果を下村氏が受け取る役割となったのだ。
文科副大臣だった森氏を動かしたのは、小沢一郎代議士と小沢氏の側近である平野貞夫元参院議員と見られている。
平野氏は当時の事情を自身のメールマガジンで次のように述べている。
「震災直後、阿部博士がナノ純銀粒子を活用して放射性物質の低減に成功した。阿部博士から私に、『無害な技術であり、小沢さんが政治活動できるきっかけに活用して欲しい』と申し入れがあった。小沢さんは『物理の原理が修正されるかも知れない技術だ。政治に利用してはいけない。あなたが相談役になって被災者の救済に役立つように協力してやって欲しい。森ゆうこ文科副大臣にも話をしなさい』とのこと。……小沢さんはこういう形で放射能浄化の活動を支援しているのである」(平成24年12月3日「日本一新運動」の原点138)
当時、小沢氏は陸山会事件のために民主党代表を辞任しただけでなく、党員資格の停止にまで追い込まれ、事実上の失脚状態だった。小沢氏からは「政治に利用してはならない」と注意されたことになってはいるが、このエピソードは何度もくりかえし平野氏から言及されており、平野氏や森氏がナノ銀除染を小沢氏復権の足掛かりにしようとしていた意図が透けて見える。
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