保守派大弾圧が始まる!韓国前検事総長・尹錫悦の正体|邊熙宰(ピョンヒジェ)

保守派大弾圧が始まる!韓国前検事総長・尹錫悦の正体|邊熙宰(ピョンヒジェ)

曺国(チョグク)を巡る一連の事件は、一貫して曺国長官・文在寅政権VS尹錫悦(ユンソクヨル)検事総長の対決構図で報じられ続け、曺国を辞任に追い込んだことで今や尹総長に対して韓国の保守派からも支持する声が上がっている。しかし彼は保守派が期待するような男では決してない。文在寅と同じ穴の狢、いや文在寅の飼い犬に過ぎないのだ。尹錫悦の正体を見誤ってはならない。


いま、曺国を辞任に追い込み喝采を浴びている尹錫悦だが、彼こそこうした文在寅の政治勢力を基盤として、政治報復の刃を振り回してきた張本人であり、文在寅と同じ穴の狢なのだ。いや、文在寅の飼い犬と言える。

実際、尹錫悦は、曺国の実弟チョ・クォンに対して学院財団運営の不正で拘束令状を請求したが、チョ・クォンは令状実質審査を放棄。これに対して、法院は「犯行を自白したため逃走する恐れがない」などと、通常では考えられない理由で令状を棄却した。過去3年、令状実質審査に参加しない被告人の逮捕状が棄却されたのは初めてのことだ。

野党の鄭甲潤自由韓国党議員は、国政監査において「全体弁護士の5%にすぎない民弁(民主社会のための弁護士の会)で要職を占め、法務部と検察、司法を牛耳っている。民弁全盛時代だ」と批判した。

つまり、尹錫悦が文在寅に抗命し、曺国までをも捜査で拘束させることは事実上不可能であり、そのことは尹錫悦自身もよくわかっていたはずだ。検察と法院が文在寅に掌握されているのに、検事総長一人がどのような手で大統領と闘うというのか。

ある者は、「検事たちが自分たちの持つ利権のために団結するだろう」と主張する。しかし、検察よりさらに閉鎖的な法院さえも掌握して、梁承泰大法院長(最高裁長官)を拘束させたのが文在寅である。

主流左派メディアは「文在寅大統領と国長官は検察を改革しようとし、尹錫悦総長と検事たちはこれらを阻止しようとしている」という安易な対決構図でしか報じないが、そもそも検察を私的な政治報復手段として利用してきた文在寅政権が、検察改革にどのような関心があるというのか。

曺国捜査を主導した高亨坤ソウル中央地検特捜一部長など、尹錫悦とともに朴槿惠大統領弾劾捜査を行った検事たちも含め、「尹錫悦師団」というより、「文在寅とともに詐欺・虚偽の弾劾を主導した勢力」と見なければならない。つまり尹錫悦らは、どの道、文在寅が死ねば共倒れするよりほかない運命共同体なのである。

文在寅は、曺国を法務部長官に任命した際、曺国の周辺捜査を拡大する検察に対して「検察は自らやるべきことをしている」と支持する発言を行った一方、発言に対する親文在寅勢力の反発が激しくなると、今度は逆に「検察は人権を考える必要がある」として自身の支持層に配慮するなど、発言を巧みに変えている。

文在寅の最終目標

そもそも、なぜ文在寅が曺国を法務部長官に強硬的に任命したのか、その最終目標に対する議論も分析も韓国内では決定的に欠けている。

本来なら、曺国が民情首席秘書官として残るほうが検察の掌握、改革には有利なはずだ。なぜなら民情首席秘書官は検察のみならず、警察や国情院等の情報機関を統括、指揮することができるからである。

なのに、なぜ文在寅は曺国を法務部長官に任命したのか。任命すれば、曺国が聴聞会と検察捜査によってめった斬りにされることは誰の目にも明らかだった。そうしたことを甘受してまで成し遂げなければならない切迫した「任務」があったのだ。それこそが文在寅の真の狙いなのである。

10月5日、瑞草洞で行われた文在寅と曺国を支持する「曺国長官守護・検察糾弾集会」には、主体思想派運動路線の学生運動団体「全国大学生代表者協議会」の後身である「韓国大学生進歩連合」が参加した。この団体は昨年、「北朝鮮、金正恩国防委員長の韓国訪問を熱烈に歓迎する」という大キャンペーンを繰り広げたことでも知られている親北団体だ。

文在寅はいま、11月に釜山で開かれる韓国・ASEAN特別首脳会議に、金正恩を招請するため総力をあげている。一方、金正恩もアメリカとの実務会談で優位に立つためには、文在寅を積極的に利用しなければならない。そこで両者が狙うのが、金正恩の電撃的な釜山訪問である。

そのための絶対的前提条件がある。それは国家保安法の廃止だ。

国家保安法は、反国家団体の結成、加盟、破壊活動、スパイ行為などを禁止し、違反者には死刑を科すこともできる。反国家団体の支配地域 (北朝鮮) への往来禁止、反国家団体とその活動に対する称賛や支援の禁止、反国家団体員との会合や通信の禁止などが規定されている。

つまりこの法に照らせば、金正恩自体が国家保安法違反の捜査対象になり得るのだ。現に、韓国の保守派団体は「金正恩の釜山訪韓時、逮捕決死団を組織する」と公言している。

文在寅は以前から国家保安法廃止を主張しており、北朝鮮にとっても同法の廃止は金日成、金正日ら先代から引き継がれた「遺志」だ。したがって国家保安法廃止は、3代目の金正恩にとって南北連邦制統一案の先決条件(必須条件)と言える。

さらに、文在寅が昨年発表した憲法改正案の方向性も、南北連邦制に備えたものだった。

今後、文在寅政権が正式に国家保安法の廃止と連邦制統一改憲案を宣言すれば、金正恩の釜山訪韓が実現するだろう。

この国家保安法廃止と連邦制統一改憲案の正当性を扇動する最適者こそが、法全般を司る法務部長官の曺国だったのである。

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金正恩の釜山電撃訪問の可能性

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