曺国は1992年、蔚山大学教授時代に「南韓社会主義労働者同盟」に参加し、国家保安法違反で6カ月間収監された。曺国は公聴会の際、「私は社会主義者であり、国家保安法は廃止されるべきである」という所信を明らかにした。
曺国の辞任が政権に打撃を与えるというのが大方の見方だが、曺国が辞任しても、文在寅政権内には曺国のような左傾路線の人物は数知れない。曺国の後任の法務部長官も、国家保安法廃止と連邦制統一改憲案の正当性を国民に説き続けるだろう。しかも、曺国は法相辞任後も文在寅政権を側面支援すると見られている。
曺国の家族の犯罪行為を擁護するために、1万人、2万人という激しい支持層が路上に集まった。曺国はいまも変わらず左派陣営のスターである。その曺国を守るために集まった群衆が、「検察改革のために犠牲になった英雄・曺国が言うのであれば」と、ある瞬間を境に「韓国大学生進歩連合」のように「金正恩の訪韓歓迎、国家保安法廃止、南北連邦制統一改憲」を支持する恐れは十分にある。
いま、文在寅政権の中心人物である柳時敏廬武鉉財団理事長などを先頭に、曺国を盛んに擁護しながら、金正恩に対して「ソウルが負担ならば済州島にでも必ずお越しください」などと、金正恩訪南の雰囲気作りが積極的に行われている。
尹錫悦の重大な「任務」
韓国国際政治の専門家は、「文在寅政権は対米、対日外交の破綻という崖っぷちに追い込まれている」と分析する。平壌に米軍核査察の専門家を受け入れなければならない立場の金正恩も、「対米外交の崖っぷちに追い込まれている」という点では同様である。
これらの危機を打破する最後の切り札が、国家保安法廃止、南北連邦制統一改憲、そして金正恩釜山訪問なのだ。そのための事前整地作業として重要な役割を担うのが尹錫悦総長であり、彼の「政界の実力者の不正をも暴く正義感に満ちた公正な」イメージが有用なのである。
なぜなら金正恩の釜山訪韓に前後して、これに反対する保守派の人士を片っ端から弾圧、粛清する公安政局を造成することが、尹錫悦のもう一つの重大な「任務」であるからだ。
今般の国の一族捜査で、尹錫悦を筆頭に検察は保守派からも支持を得ているが、その検察はあくまでも「文在寅に掌握された検察」であることを忘れてはならない。尹錫悦が保守派たちに刃を向けた時、彼らはどのように抗弁するのだろうか。
文在寅は、尹錫悦らを用いて徹底して韓国を破滅に導こうとしている。そのことに保守派すら無自覚であれば韓国に未来はない。(翻訳/黄哲秀)