大半の人々は、タブレットが弾劾の「スモーキングガン」(動かぬ証拠)というJTBCの主張が、結局のところ事実ではないことを知らない。 実際、裁判所は朴大統領の弾劾裁判や、その後続いた刑事裁判においても、タブレットPCを証拠として採択しなかった。
「国政壟断」という洗練された新しい(実際は古い)用語は、朴大統領弾劾に関連する多くの複雑な事案と疑い、デマ、衝撃的なストーリーを一度に描写できる便利な用語となった。
国民は特に、「スンシル」という名前をもつ一概の女性―下品で、教育を受けたことのない者の名前、さらには、ある人にとっては巫女(みこ)のような印象を与える名前を持つ女性―が国政を代わりに運営していたというデマに憤慨した。
「汚い眠り」と呼ばれる絵は、このようなあらゆる作り話を反映している。 2017年1月24日、国会でこの絵を掲げた「芸術」展示会が、共に民主党のピョ・チャンウォン議員の後援で開かれたこともあった。 絵は、朴大統領がミサイルのミニチュア(THAADを象徴)を腕に挟み、ベッドで眠っている姿を表現した。 背景にはセウォル号の沈没、崔被告が麻薬注射器の束を抱えている姿を描いた。
2017年1月、国会で展示された「汚い睡眠」という絵。共に民主党のピョ・チャンウォン議員が後援した。
弾劾/ろうそく集会(Impeachment/Candlelight Protests)
タブレットPC報道に衝撃を受けた国民は、とても精巧に組織されたろうそく集会に参加した。 集会に参加した群衆は、最初は朴槿恵大統領の辞任を、のちに弾劾を要求した。 しかし、人々が知らなかったのは、当時ろうそく集会がいかに人為的に組織され、またどれほど多くの団体(暴力的であり、反米・従北的考えをもつ全国民主労働組合総連盟や全教組のような団体)が、これを意図的に主導していたかという事実である。
このような団体は、国民に訴えかけるためコンサートを開き、お祭りムードの集会をつくりあげた。 核心主導勢力の一つである民主労総は、朴槿恵大統領の追放を要求するろうそくデモの他にも、セウォル号沈没事故のような様々な政治的問題についても、しばしばデモをおこなった。 THAADミサイル配置撤回を要求し、内乱扇動の容疑で収監されたイ·ソッキの釈放を要求するなど、弾劾と関係のない数多い事案に対してもろうそく集会を開いた。 また、中国が自国の留学生をひそかにデモに参加させ、ろうそくデモを背後で操っていたという疑惑も提起された。