米国で起きているのは、選挙で示された民意よりも、「自分たちこそ正義だ」と信じる者たちの感情が、制度を踏みにじる“病理”である。
暴力をほのめかすような象徴で訴えることが、正義の表現であるはずがない。それは、理念ではなく感情に支配された表現であり、結果として敗北の表明に等しい。
民主主義は、静かに、しかし確実に崩れうる。
政治の世界に生まれたわけではないトランプのやり方には賛否がある。だが、彼に「政治的に」勝ちたいなら、批判ではなく、支持で勝つしかない。
今回のジェームズ・コミーの「86 47」の投稿も、それを暗殺指令だとして示されたトランプ政権中枢からネットのトランプ支持層に至るまで広範かつ強烈な反発、さらには実際に事情聴取までおこなわれたという米国の現状を見ていくと、暗殺という最も許されざる暴力が、あまりにも身近に「起こりうる現実のもの」として存在している米国の現状を浮き彫りにしていることに愕然とせざるを得ない。米国の分断の激しさは益々深まっていくばかりだ。
「86 47」
貝殻の写真投稿だけで、これだけのことが起きるのが今の米国だ。

1985年福岡県生まれ。フリーチベット福岡代表。ランダムヨーコとして知られている。関西外国語大学英米語学科卒業。政治と歴史に関するYouTubeチャンネル「randomyoko2」の登録者数は5万人を超え、800万回以上視聴されている。著書に『新・愛国論』(桜の花出版)。英語での論文がジャパン・フォワードに掲載されている他、Foxニュース、CNN、BBC、CBS、ラジオ・フリー・アジア、サウスチャイナ・モーニングポスト、ブライトバート、チベットテレビなどの多数の英語メディアにおいて、日本人コメンテーターとして発言が紹介されている。夫は石井英俊(自由インド太平洋連盟 副会長)。