【読書亡羊】極右政党を無害化するたった一つの冴えたやり方  ユストゥス・ベンダー著『なぜAfDは支持されるのか』(同時代社)|梶原麻衣子

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


批判が養分になるサイクル

東大「五月祭」での参政党・神谷宗幣代表の講演が中止となり、その対応を巡って大学内外で議論が巻き起こっている。

特にSNSを中心に展開されている東大関係者(OB含む)たちの議論は、結論は違ってもさすがと思わされる論理展開のものもある一方、「いくら相手が参政党だからってここまで言うか」と思わされるようなものもあり、それゆえに「参政党をいかに扱うべきか」の難しさを感じさせる状況となっている。

参政党を巡って、大きく見ればリベラル層内、特にエリート層内で侃々諤々の議論が展開されているのは興味深くはあるのだが、問題はそれがやり方によっては参政党支持を後押しするものになりかねない点だろう。

実際に、そうした「予期せぬサイクル」が回っているらしいのがドイツである。

ドイツと言えば日本にとっては「戦前の行いを反省し」「ヘイトスピーチは違法」であり「ナチスの反省から右派には厳しい」はずのお国柄だが、この10年あまりは「極右政党」とも評される政党AfD(ドイツのための選択肢)が躍進を続けている。2025年の連邦議会選挙では、20%の得票を得て第二党となった。

もちろん日本とドイツ、あるいは参政党とAfDはあらゆる点において違うため、比較の際には気を付ける必要がある。だが、なぜAfDはここまで躍進することができ、それを続けているのかは、今後の参政党の行方を占ううえでも、またメディアや世論が対処する際にも一つの参考になるだろう。

そこで参考になるのがユストゥス・ベンダー著、田中辰明訳『なぜAfDは支持されるのか――右派ポピュリズム政党躍進の秘密』(同時代社)だ。

なぜAfDは支持されるのか 右派ポピュリズム政党躍進の秘密

政策活動よりメディアの批判が躍進の理由に?

本書は2017年に書かれたものだが、2025年のAfDの躍進を機に再び話題になり、新版として最新状況が書き加えられたものだ。ドイツのある論客に言わせれば、「AfDの現状を言い当て、今後の暗い未来を予測している」一冊だという。

著者はFAZというドイツの高級紙の特派員で、本書は最終的には「2026年にAfDの首相が生まれる」可能性を指摘している。だが本書のキモはそのおどろきの予測ではなく、AfDを取材し、その「躍進」の本質を見極めている点にある。

著者は、新版まえがきにこう書いている。

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書評 読書亡羊 梶原麻衣子

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